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「まくら」営業、はじめました。

営業職の男です。「まくら」を極めて営業のタツジンになりたいのです。

限りなく赤に近いイエロー

 

 

 

 

健康で、借金がなくて、しっかりした意識があると言う幸福以外に、いったい何が必要だというのだ。

アダム・スミス

 

 

欠乏は人の注意を占拠し、それが限定的な強みをもたらす。差し迫ったニーズにはうまく対処できるのだ。しかしもっと広く考えると、それには代償がともなう。人はそれ以外の心配事をほったらかしにし、生活のほかの面での能力が低下する。

 

『SCARCITY:Why Having Too  Little Means So Much(いつも「時間がない」あなたに)』 センディル・ムッライナタン&エルダー・シャフィール

 

 

 

 

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先週の木曜日。

 

 

 

 

課長「焼き芋、会議の時に使用する資料、進捗はどうだ?」

 

「明後日の会議までには、問題なく出来上がります。明日の朝までにたたき台をメールで送りますので、確認と修正が必要な場所をご指摘ください」

 

課長「そうか。ところで、この前お願いした市場調査の資料はどうなった?」

 

「現在約6000のサンプルをまとめているところです。面白い結果がでそうです」

 

課長「頼んだぞ。そういえば、来週のプレゼンの用意、どうだ?」

 

「まだ途中ですが、明日の午後までにはまとめ上げられると思います」

 

課長「そうか、頑張れよ。じゃあ、俺は帰るから」

 

「え・・・・・・・?」

 

 

 

 

毎日のように残業。通常業務に加え、様々な資料作りに取り組んでいた。

まだまだ若輩者で、そこまで重要な仕事ではないかもしれない。それでも、少しずつ仕事を任せられていることに心地よさを覚える。

 

若い時の苦労は買ってでもせよ

 

こんな古臭くも励みになる言葉を自分に向けながら、仕事を終わらせてはまた新たな仕事をこころよく迎え入れた。そして、来週には大事なプレゼンが控えている。

 

 

 

 

その夜。

 

来週の大事なプレゼンに向け、資料作成に22時過ぎまで残業。家に着くと23時近くになっていた。

 

疲れきった体はあまり空腹を感じていなかったが、なんでもいいからお腹に入れて早めに眠りにつきたかった。

 

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戸棚にある袋のインスタントラーメン(サッポロ一番)を手に取り、鍋に火をかける。

 

 

「ラーメンだけだと・・・・・・なあ」

 

 

 

 

しかし、最近のあわただしい生活の影響で、冷蔵庫にはろくなものが入っていない。

 

野菜室を見ると、キャベツと玉ねぎが入っている。キャベツは少し黒い斑点が浮かんでいたが、危うそうな部分をとれば問題ないだろう。玉ねぎもいつ買ったのかわからないが、腐敗している様子もないし、こちらも食べられないこともないだろう。

 

 

これら野菜を手に取り、包丁でざく切りし、沸騰する鍋に放り込む。

 

野菜を煮込んでいる間、顔を洗い、コンタクトを外す。風呂は朝シャワーにすることしよう。

 

 

 

 再びキッチンに戻り、袋ラーメンを入れ、麺をほぐす。粉末スープを入れた後、最後に卵を落とし、完成。「超健康ラーメン」の出来上がり。

 

(画像はでせられるレベルでもないので載せない。まあ、これをラーメンと認識する人はあまりいないだろう) 

 

 

デキル男の夜食は、油まみれのラーメンではなく、身体を意識した野菜たっぷりラーメンなのである。もちろん、卵を入れることでタンパク質も補うことに成功している。

 

 

――

 

ずずずず

 

 

 

「……うん?まだキャベツに火が通ってなかったなあ。それに、野菜から汁が出て味がかなり薄くなってる。……しょうがないなあ」

 

キッチンに戻って塩コショウと七味唐辛子とマヨネーズをとってきて、ラーメンの上にそれらをフンダンふりかける。

 

「……まあ、食べられなくはないな」

 

引き続き食事を続ける。しかし、途中から眠気が強くなり、半分ほど食べ終わったあたりで残して眠ってしまった。

 

 

 

 

 

――その夜。

 

 

 

 

 

(……い、痛い)

 

キリキリとしたおなかの痛みで目を覚ます。

 

 

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(これは、やばいやつかも……)

 

 

眠っていた最中の強烈な腹痛で目を覚ましたせいか、意識は朦朧。ただ、自分が瀬戸際にいることだけはハッキリと感じた。

 

 

  トイレにこもりながら、おなかが痛くなった原因を考える。すぐに思いついたのが、

 

数時間前に食べたあの煮込みラーメン(らしきもの)

 

 

である。

 

 

……考えてみたら、野菜は大分前のもので、すでに腐敗が進んでいたものだったかもしれない。それをあんまり火が通っていない状態で食べた。おまけに、味が薄いということでコショウや七味唐辛子やマヨネーズをたっぷりとかけた。もともとおなかが弱い自分にとって、これは強力な刺激だったかもしれない。しかも、連日に続く残業で体に疲労が蓄積していたので、内臓も一段と弱っていたことだろう。

 

 

少し考えればわかりそうな危険な行為を、うかつに行っていたことに後悔した。

 

 

いずれにしろ、決して倒れるわけにはいかないタイミングである。明日までに提出しなければならない資料もある。それに、来週には大事なプレゼンが控えている(これいうの3回目)。

 

 

しばらくして、少しだけおなかの痛みが引いた。憔悴した状態でベッドに戻り、おなかを温かくして眠った。翌朝、お腹の痛みが少しでも収まっていることを祈りながら。

 

 

――

 

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翌朝。

  

朝起きると、何事もなく腹痛は収まっていた。ドラマであればここで腹痛が激しくなり、翌日から入院!!となったほうが面白いのだろうが、幸か不幸か、私の場合は体調が回復していた。(ただ、起きあがる際、軽くお腹に痛みを覚えたことから、昨晩のことが夢でないことだけは確信した)

 

 

その日はお腹に刺激を与えないよう、仕事の友であるコーヒーや緑茶を控え、麦茶を持参して飲んだ。昼ごはんもチョコレートを食べる程度にした。

 

土日も、いつもであればランニングをしたり、会社のパソコンを使って翌週に控えた大事なプレゼン資料のブラッシュアップに努めるのだが、今回は休息に徹した。

 

体は随分と疲れがたまっていたのか、土日はほとんど睡眠と読書で終わった。それでも、心身ともに回復していくのを感じた。

 

当日の資料作りのために費やした時間は減ったが、休息をとったことで心身の調子を整えることができた。 

 

――

 

そして、本日がその大事なプレゼンの日だった。

 

 

 

 

結果は、特段大きな失敗もなく終了。忘れ物もなかったし、先方からもそこそこの反応を得られたと個人的には思っている。ただ、準備していた頃にあれほど大事だと思っていたプレゼンだが、終わってみると「そこまで大事なこと?」と思ってしまったのも本音である。


いずれにしろ、腹痛が悪化した可能性を考慮すると、今回のプレゼンは大成功だったよ!と、過去の自分に言ってやりたい。

 

 

 

 

以上。

 

 

――まあ、単なる一時的な腹痛だし、自分以外の人にはあまりにもどうでもよい体験談かもしれない。でも、自分にとってはとても重要な経験と思った。

 

今回得た教訓、それはすなわち、

 

 

 

 

 

 

ゆとりは大事

 

 

 

 

ということである。

 

 

 

 

……以上、ゆとり世代からでした。あんまり共感得られないだろうね(苦笑)