東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟で、東京地裁(大竹昭彦裁判長)が、政府が非公開としている原発事故に関する事故調査・検証委員会(政府事故調)の一部調書について、裁判官が直接読み込んで開示可能かどうかを判断する「インカメラ審理」を行う方針を決めたことが12日、関係者への取材で分かった。審理のため政府に対して一部調書の提示を求めたという。
地裁は政府に対して調書の文書提出命令を出すか検討している。インカメラ審理を踏まえて提出を命じれば、事故を巡る東電経営陣の新たな証言が明らかになる可能性がある。
株主側は、東電が2008年の内部調査で福島第1原発の想定津波が最大15.7メートルになると試算していたのに、新旧経営陣27人が対策を怠ったと主張し、総額9兆円余を会社に返還するよう求めている。政府事故調が聞き取りした勝俣恒久元会長や清水正孝元社長ら17人分の調書について、争点に関わる事実が記されている可能性があるとして、民事訴訟法に基づく文書提出命令を政府に出すよう地裁に申し立てていた。
これに対して政府は「公務遂行に著しい支障をきたす恐れがある」として提出を拒む意見書を提出していた。【伊藤直孝】