首相 保育士待遇改善へ月額4万円程度の上乗せを検討

首相 保育士待遇改善へ月額4万円程度の上乗せを検討
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安倍総理大臣は、衆議院予算委員会の集中審議で、待機児童ゼロに向けて、保育士の処遇を改善するため、技能や経験のある職員を対象に、来年度から月額4万円程度の上乗せを目指し、検討を進める考えを示しました。
この中で、民進党の山尾・前政務調査会長は、「民主党政権では、待機児童が減少したが、第2次安倍政権において、再び増加に転じた。『待機児童ゼロ』をうたいながら増えていることをどう考えるか」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は、「民主党政権時代の2.5倍のペースで保育所を整備してきたが、申し込み者が2倍に増えた。働く女性が増えた結果、申し込みが増え、結果として保育所を整備しても残念ながら追いつかなかった。待機児童ゼロに向かってさらに努力を重ねていきたい」と説明しました。
そのうえで、安倍総理大臣は、「保育士の処遇を2%引き上げていく。プラス、保育士として技能や経験を積んだ職員について、4万円程度の追加的な処遇改善を継続して実施できるよう予算編成過程でしっかりと検討していきたい」と述べ、保育士として技能や経験のある職員を対象に、来年度から月額4万円程度の上乗せを目指し、検討を進める考えを示しました。

一方、山尾氏が、民進党などが衆議院に提出している保育士らの給与を、月額で5万円引き上げるための法案に協力を求めたのに対し、安倍総理大臣は、「恒久的な財源の確保策が明らかになっていない点、人材確保のために必要な総合的な対策となっていない点に問題があると考えている」と述べ、否定的な考えを示しました。

駆け付け警護

また、安倍総理大臣は、来月南スーダンに派遣される見通しの自衛隊の部隊に対し、付与するかどうか判断するとしている安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」などの新たな任務について、「任務が増える分だけリスクも増えるというわけではなく、まして自衛隊員が実際に負うリスクは、足し算で考えるような単純な性格なものではない。十分な教育訓練を行ったうえで、きめ細やかな準備と安全確保対策を講じ、あらゆる面でリスクを低減する取り組みを行っていく」と述べました。

年金制度

さらに、安倍総理大臣は、継続審議となっている年金支給額の伸びを物価や賃金の上昇より低く抑える「マクロ経済スライド」の強化などを盛り込んだ法案について、「世代間の不公平感が広がっていくことを是正し、年金制度の持続可能性は強化される。法案を審議し、成立させていただきたい」と述べました。

憲法改正

このほか、安倍総理大臣は、憲法改正をめぐり、「自民党の憲法改正草案に対して、国会で答弁しないのはおかしい」と指摘されたのに対し、「私は、総理大臣としては、政府が出している議案について、政府を代表しての考え方を述べる立場だ。今いよいよ憲法改正がよりリアリティーを帯びて、いよいよ憲法審査会で議論いただくという段階では、自民党総裁として発言することは控えたほうがいいという判断をした」と述べました。