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堀尾輝久氏 マッカーサー書簡で“押し付け憲法論”は覆った

――押し付け憲法論は空論だということですね。9条改正を目指す安倍首相は論拠を失います。

 安倍政権は9条の発意はマッカーサーによるものだという見解をベースに改憲を訴えていますが、史実は異なります。高柳は憲法調査会の活動のまとめの段階で「憲法第九条――その成立経過と解釈」という論文を発表している。61年のことです。マッカーサーとの往復書簡をベースに、「9条は幣原発案と見るのが正しい」と結論付けているのですが、原文は紹介されていなかった。それが幣原発案説の弱点だったのですが、ようやく原文が見つかった。安倍首相にはぜひとも目を通してもらいたい。

――それにしても、憲法公布70年の節目を迎える今日まで、この重要な往復書簡が日の目を見なかったのはなぜなのでしょうか。

 教育学者である私からすれば、これくらいのレベルの話は憲法学者であれば知っていてしかるべきだと考えていました。これだけ押し付け憲法だと言われているのだから、それに反対する憲法学者が探し出すだろうと思っていたんですが……。憲法成立過程に関わった学者も9条についてはあいまいな立場を取り続けたことが、少なからず影響していると思います。

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