『カオサン東京』オープンまでの経緯を教えてください?
2002年の日韓ワールドカップの際に、上野出身の創業者が、山谷に外国人旅行客が集まっているという記事を読んだのがきっかけです。その時に、せっかく海外からお客さんが来ているなら、是非浅草に泊まって欲しいと思ったんですね。その後、2003年に、第1号店を雷門2丁目に出店しました。ニーズは高かったみたいで、1号店を開けた半年後には満室になりました。その後は毎年1、2店舗出店しています。今は東京に6、京都に1、福岡に1、別府に1と、全部で9店舗あります。東京・京都では、外国人のお客さんが9割ぐらいです。稼働率は年間で90%を切りません。
具体的にどのようなプロモーション活動をされているのですか?
オンライン予約サイトを積極的に活用しています。バックパッカーは10年程前から、現地に行って飛び込みで泊まるスタイルから、旅に出る前にオンラインで予約を入れるスタイルに切り替わりました。カオサン東京では、早い段階から9割以上がオンラインの事前予約です。
去年は地震もあって、少し客層が変わってくるという見込みがあったので、販路を細分化しました。以前はホステルワールドの比率が高かったのですが、楽天とじゃらんの比率を上げて、ホテル系のサイトであるエクスペディア、アゴダ、Booking.comでも販売を始めました。その結果、ホテル系サイトからの集客もだいぶできるようになりました。Booking.comのレビュー評価では、『カオサン東京 歌舞伎店』が東京エリアの上位に入っています。星の数1のホステルが、五つ星ホテルよりもお客さんに評価されているのです。
僕らがホテル系サイトで売る時の一番の強みは、大部屋です。例えば4人部屋は、日本の宿の供給がものすごく少ない。その一方、エアアジアで来日するマレーシアのお客さんは、4人組みのファミリーが一番多い。4人で来たらやっぱり4人で泊まりたい。特にムスリムの人は、相部屋を嫌います。
2012年のLCC就航は3年前からわかっていた話です。また、国の経済発展段階によって客層が違うというのもわかっています。韓国や台湾は学生が多く、マレーシア、インドネシアはファミリーが多い。ヨーロッパやアメリカは個人かカップルです。『カオサン東京』では、オープンスカイ協定が結ばれていく中で、どこの国の人が何人ぐらい増えて、そのうち何割ぐらいがホステルのマーケットに来るかというのをふまえて、どのルームタイプのどの単価が必要になるかを予想し、それに合わせて店舗を作りました。
宿業はマーケットの変化に対応するのが難しいですが、コストを抑えて、初期投資の回収期間を圧縮すれば、変化に合わせて箱をアジャストしていくことができます。足りないところはわかっているので、そこを補ってオンラインで売れば、売れるのは当たり前です。