今回のこの記事は、私が病気を発症した一番の原因のPJについて書こうと思います。
一応は冷静に書くつもりですが、途中からバーサーカーモードに入って、理性が保てなくなるかも(笑)
かなり暴言を吐くと思われるので、苦手な方はスルーでお願いします。
あと、かなり長くなると思います。
これは、「消火特殊精鋭部隊Milk」 VS 「お嬢」との闘いの歴史である。
お嬢
そのPJ(プロジェクト)は、何となく燻っていた。
ほのかに匂う、こうばしい香りと、明らかに油が投入され何かメラメラとしている状況が、目に見えた。
何故なら、私の隣の席のPJだったからだ。
何よりも、お局様がキーキー叫んでいた。
正直に言えば、私はコイツのせいで病気になったと思っている。また、コイツに対する組織の対応に、私自身が納得行かず、その後私はもがき苦しむことになる。
裏で、彼女はこう言われていた。「お嬢」
もちろん、こんな奴に役職などない。
しかし、無駄に歳をとり、自由気ままに好き勝手に社内を動きまわり、女性コミュニティーの頂点に立っていた。
因みに、私は顔が可愛らしいとの理由で、このお嬢に気に入られていた。
別に、拒否する理由もないので、酒の席に呼ばれれば行っていたし、それも仕事だと思っていた。
だから、この時点で、お嬢と闘う日が来るとは思っていなかったのだ。
PJ爆発
遂にその時が来た。
成るべくして成ったと言ったほうがいいだろう。
このPJの組織図はかなり入り組み、複雑化していた。
その理由は一つ。お嬢がメンバーを気に入らなかったら、出禁にして排除していたからだ。(一番の下っ端に、この権限を持たせた事自体がおかしい。)
これを繰り返す中で、PJのメンバーは安定せず、そして崩壊の一途をたどる。
そして大きく、てこ入れを行うことになった。
組織体制の変更
それは、我々のチームのPM(プロジェクトマネージャー)が、お嬢のチームのPMに就任。つまり、お嬢のわがままによって、自分のPMを解任するという暴挙を犯す。(厳密には、課長に直訴までして替えてくれと言っていたらしい。)
我々のチームをネイビーシールズと呼ぶことにする。そして、お嬢のチームをデルタフォースと呼ぶことにしよう。
ネイビーシールズのヘッドが、デルタフォースに持って行かれた形になった。
ここで、PMは当然ながら、自分たちの部下をこのデルタフォースに投入して、立て直しを図ろうとした。
つまり、ネイビーシールズとデルタフォースの共同作戦に移行することになった。
選抜されたメンバーは、私と、Eさん、と主任のSさん。後の、3ピースバンド結成の瞬間だ(笑)
本当は、PMの右腕的存在の人がいたのだが、彼を引っこ抜くと、ネイビーシールズは元々の作戦が維持できなくなる。
よって一人だけ残し、残りの兵力全てをデルタフォースに投入した。
ここから、更に組織が複雑化するのだが、一旦整理しよう。
何より問題だったのが、お嬢の独断で出禁にしたEさんが、一旦デルタフォースからネイビーシールズに移動したのに、再度、デルタフォースに取り込まれたことだ。
これが私を後々苦しめる。
お前大人だろ?
お嬢がここまで好き勝手に行動できたのには理由がある。
それは、このPJのシステムの設計部分について精通していたのが彼女だけだったからだ。
本当は、Eさんと共同で設計を行うはずだった。しかし、彼女らは互いに罵り合うまでの状況に発展し、設計どころの話じゃなくなった。
結果的に、Eさんをお嬢は出禁にして、彼女だけで設計を独占した。
悪いことに、他の主任級はこれを黙認した。これによって、彼女の牙城が出来上がってしまったのだ。
デルタフォースは彼女の組織に変貌した。
さて、時間は経過して、ネイビーシールズの一員としてEさんは戻ってきた。
デルタフォースの実際の開発ルームに、我々3人が行った時だ。
お嬢「はぁ?あの人を入れるなって言ったよね?私、気分悪くなった。帰る。」
びっくりするのは、こっちの方だ。
いい大人が、気乗りしないから帰る? 公私混同も大概にせい!!
しかも、これを周りは注意するのではなく、なだめるのだ。
デルタフォースは既に崩壊しきっている。いや・・・もう腐れている。
こんな現場は初めてだ。燃える以前の問題だ。組織の体をなしていない。
指揮系統を元に戻す
結局、ネイビーシールズはデルタフォースの開発室に出禁状態になった。
正確に言うと、Eさんだけがだ。
そうなると、ネイビーシールズとデルタフォースの橋渡しを行うのは私の役目になってしまったのだ。
情報の伝達、仕事の割り振り、タスクの調整・・・
挙句には、デルタフォースのPG集団(プログラマー)の面倒まで見ることになった。(この時点ではPG集団は、システム試験に工程が移行していたので、試験結果の内容のチェックを私はしていた。)
さて、情報を正確に組織に浸透させるためには、正しい指揮系統を確立しないといけない。
そうでないと、各自あちこちからの指示が飛んで、収集がつかなくなるからだ。
爆発しているPJは、往々にして、この指揮系統が麻痺を起こしている。それは仕事に忙殺されていて、指示を出すまでの余力が無いというのがほとんどだ。
しかしながら、このデルタフォースは明らかに状況が異なった。
そう。お嬢が途中に割り込むことで、指揮系統を破壊していたのだった。
Milk VS お嬢
私は、正規のルートを通して指示を伝搬させるということを主張していた。
それは、もともとの「PM&PJリーダ」を通して、各部隊に指示を出すという指示系統だ。
だから、逐一、状況の報告は、PJリーダに入れることにしていた。
現在の状況。そして問題点。また問題点に対する、現在自分が考えうる打開策。これらをデルタフォースのPJリーダに入れていたのだ。
これが本来のPJの組織としての正しい状態だ。
一刻も早く、この状態を復活させないといけない。
そうでないと、いつまでもデルタフォースは自立できない組織になってしまう。
しかし、待ったがかかった。
そう。お嬢だ。
お嬢は、私の仕事を高く評価はしてくれていた。今までの経験上、必要な仕事を先回りしてこなすことで、PJの循環がある程度良くなってきていたからだ。
ただし、不満が1点あったのだ。
それは、私がPJリーダに情報を全て集めていること。
お嬢「ねぇ。Milk。今度からさ、私に全部情報を伝えてよ。」
Milk「いえ。それは出来ません。組織としてPJリーダに情報を集めるのが筋ですから。私はそう思っています。」
お嬢「それは正論かも知れないけど、あのPJリーダ全然使えないのよ?それより私に回してくれた方がいいじゃない。」
Milk「それは、○○さんに負荷がかかりすぎているからです。○○さんを補助する人間がいなければ、このPJは正常に機能しません。それに、ここで、指示系統を変更すれば、この組織自体が混乱をきたします。」
お嬢「ふん。なによ。もういいわ!!(怒)」
私が絶対に折れないと判断したんだろう。
私とお嬢との関係が壊れた瞬間だった。それでいいと思った。
俺は俺の筋を通した。絶対に間違っていないという確信があった。
このデルタフォースは、異常だ。通常の爆発PJの部類に入らない。自ら爆発しに行ってる状況だ。
当然ながら、このあとお嬢からの私への風当たりは強くなった。
このやり取りの後、お嬢は部長&課長に対し、私が「自分の言うことを聞かず和を乱している」と直談判に行ったらしい。
隣の課の課長から喫煙室でそのことを聞いた。
隣課長「Milk。お前、なんかやったのか?」
Milk「いえ。まぁ・・・お嬢と少しですかね。」
隣課長「さっき。お嬢がフロアーに怒鳴り込んできたぞ?(笑)」
Milk「そうですか。しかし、私自身は間違ったことをしていると思ってません。筋は通したつもりです。」
隣課長「そうだな。あいつは理想が高いが、それを周りに強要して振り回すんだ。ほんと厄介な奴だよ。これで、お前もお嬢のブラックリスト入りだな(笑)」
Milk「そうなりますね(笑)」
隣課長「お前も大変な役回りだな。」
Milk「まぁ・・・それが支援組の使命ですから。」
Milk。大人になってくれないか?
風当たりが強くなったこともあるし、デルタフォースの開発室は雰囲気が最高に悪かった。
必ずしも、デルタフォースの開発室で私が仕事を行う必要はなかった。
仕事を自分のフロアーに持って上がって、自分のデスクでやればいいのだ。
あの一件以来、私は仕事効率の観点からも、自分のデスクで仕事を行うことにしていた。
すると、私の課の課長から呼び出された。
課長「やぁ。Milk。最近、デルタフォースの開発室に行ってないんだって?」
Milk「ええ。でも、必要最低限では行ってますよ? それに、仕事効率からしても、こちらで仕事をした方が明らかに良いですから。」
課長「なぁ。Milk。お前の言ってることは正しい。それは分かるんだ。だがね、あからさまに仕事の場所を変更すると、デルタフォースというか、ほら・・・お嬢の機嫌が悪くなるんだよ。そしたら、デルタフォースは機能しなくなる。」
Milk「はぁ・・・」
課長「だから、もう少しデルタフォースとの連絡を密に行ってくれないか? 頼む。大人になってくれ。」
Milk「そうですか。分かりました。少し大人気なかったですね。上手くネイビーシールズとデルタフォースの間を取り持ちます。顔もちゃんと出しますよ。」
課長「それは良かった。助かるよ。お願いね。」
こんなに虚しい気持ちになるのは久しぶりだった。
俺が・・・俺が大人になれって? 大人に成るべきはお嬢だろう? なんで俺が妥協しなきゃならないんだ!
ここから、私の中で何かの歯車が咬み合わなくなっていく。
私は、この状況をPMに報告した。
と言うより、私自身は何をしたら良いのかもう分からない・・・と吐露した。
答えは、「耐えてくれ。そして、お嬢に情報を流すと共に、PJリーダとPMの俺にも情報を二重で流してくれ。」と言う指令だった。
もう私は、この部門の組織自体にも懐疑的になっていた。
直属部隊の参加
あまりにバグが多いために、バグ修正のため各特殊部隊は各々が推薦するPG集団を集めることになった。
当然ながら、我々のネイビーシールズのPG集団も参加したし、デルタフォースのPG集団も継続して参加した。
ここで、部長直轄部隊のグリーンベレーが参加することになる。
そして、あろうことか、このグリーンベレーはお嬢の直轄部隊へと権限移譲がなされる。
ここで少し整理しよう。
あっと言う間に、デルタフォースは30人ほどの組織になってしまったのだ。
そして、お嬢はグリーンベレーを大変気に入っていた。
確かに能力的に高い集団だった。それに、自分の思い通りに動くのだから。
しかし、それに比較して、自分のデルタフォースのPG集団への扱いは酷いものだった。
私が間をとりもつまではいかなくても、彼らのモチベーションを維持するために、あれこれと声をかけ続けたことは言うまでもない。
いくらグリーンベレーが能力が高くても、このバグ量を収束させるのは無理があったからだ。
今更、デルタフォース専属のPG集団を責めても仕方がない。何しろ、設計も荒すぎて話にならなかったからだ。
試験内容を確認するために、設計書を読んで見たが、全く意味がわからないところ、機能的に明らかに欠如している所が多々あった。
つまり、お嬢は設計を独占しながらも、設計をちゃんと行えていなかった。
そして、その責任をPG集団に押し付けた。
私は、両方共悪いと思っている。押し付けた方も、確認しなかった方も。
だが、立場的に追い詰めることが可能なのは、お嬢が有利だった。だから、デルタフォースのPG集団は疲弊していた。
見ていて可哀想だった。私に出来ることは、彼らに笑顔で接して、「君たちが頑張っているから助かっているよ。だから、一緒に頑張ろう。」と言葉と行動で示すことぐらいだった。
クリスマス事件
このPJからネイビーシールズは半年で引き上げるつもりだったが、私とネイビーシールズのPG集団だけが残されて仕事が継続された。
Eさんと主任のSさんは、次の案件の準備に入っていた。私はと言うと、ネイビーシールズとデルタフォースの仕事を兼任する形で年末を迎えていた。
これは、周りから聞いた話だが、「まだ使える人材としてMilkは必要だ」とお嬢が主張したかららしい。忠実に従いはしないが、仕事はきっちりこなしている。こいつを手放すのは惜しいと思ったのだろう。
だが、私が我慢の限界を超える事件が起きた。
クリスマスの週。お嬢は体調を崩して、ほとんど出勤してこなかった。
確か、クリスマスだったか、クリスマス・イブだったか・・・その日は金曜日だったかな?
久しぶりにお嬢は、午後出勤をしてきた。
何のためか。
グリーンベレーたちとクリスマス会をするためだ。
お嬢「Milk。仕事終わりそう?あとこんだけだね。じゃぁ、これ終わらせて帰ってね!」
Milk「はい。分かりました。」
私は、知っていた。お嬢達が飲み会に行くことを。
俺に仕事を積み上げといて、お嬢は今週ほとんど出勤しなかったくせに、グリーンベレー達と飲みに行く。
飲みに行くグリーンベレーもどうかしてる。
なんでデルタフォースの人間じゃない俺が残業して、当の本人がいなくなっちまうんだよ。
意味が分からない。
もう我慢の限界を超えた。
私はデルタフォースの、Y主任から話しかけられた。
Y主任「Milk。頑張ってるね!」
Milk「ええ。お嬢から仕事を押し付けられましたから。お嬢は飲みに行くんですよね?グリーンベレーと。」
Y主任の顔から血の気が引いていた・・・なんで知ってるんだって顔だった。
Y主任「う・・・うん。そう・・・みたいだね。」
Milk「なんで俺に仕事を押し付けて、あの人は帰るんですか?あの人は今週、ほとんど出勤してなかったですよね?体調不良ですよね?なんで飲みに行くんですか?」
Y主任「いや・・・うん。Milkが怒るのはごもっともなんだけど・・・」
Milk「どうして、お嬢を誰も止めないんですか?おかしいですよね?もう組織として成り立ってないですよね?我々、ネイビーシールズは引き上げてもいいんですよ?困るのは、そっちの方だ。なんで、デルタフォースの崩壊に我々を巻き込むんですか?我々は次の案件が待ってるんですよ?ネイビーシールズのPG集団も、そのために雇ってるんだ。デルタフォースの支援のために雇ってるんじゃない。本気で、この案件を収束させる気があるんですか?はっきり言って、私は何も納得がいってないんですよ!」
この怒りは収まらなかった。
しかし、不毛なやり取りだ。そんなことしてる暇があったら、仕事を終わらそう。
そう思った。
Y主任は、ほっとしたのか、さっと居なくなった。
課長が通りかかった。お嬢を探しているらしかった。お嬢は飲みに帰りましたよ?って言ってやった。
課長も流石に怒ったらしい。
そして、課長は私に愚痴を言い始めた。
私は、「課長も頑張ってますね。苦労がありますよね。」って言いながら、課長の長話を聞くことになった。
もう、俺の怒りを受け止めてくれる人間はどこにも居なかった。
最後に
この案件は、社内でも有名な案件になっていてブラックリスト入りしており、赤字の流血具合が尋常じゃない状態だった。
○○PJと言えば、誰もが「あぁ・・・」って顔をした。
この後も、デルタフォースがある程度安定し、何とか自分たちで動けるようになるまで面倒は見た。
しかし、この頃から私は猛烈な吐き気をもよおすようになる。
精神が限界にすり減っていた。
各部隊の橋渡しをし、緩衝材になりながら、デルタフォースを立て直す。これに私の全ての体力と神経は摩耗された。
タバコもだいたいこのぐらいから吸えなくなった。
吸うと吐き気が倍増したからだ。
本当は、もっと滅茶苦茶なことが沢山あった。
たぶん思い出せないだけで、この倍ぐらいは意味不明な状況が起きていたと思う。
私自身も、毎日何をしているのか分からなくなった日々だったからだ。
でも唯一救われたことがあった。
デルタフォースのPG集団で、仲良くしていた子がいた。例のラブライバーだ。あと沖縄出身の子もいた。
彼らと仲良くしていたのだが、ある時「Milkさん!今度、打ち上げするんですよ。是非来て下さい!」と誘われた。
ありがとうと答えて、実際に行ってみると、それはデルタフォースのPG集団の打ち上げだった。
つまり、私の会社の人間は誰もいなかったのだ。場違いな空気がありありだった。
Milk「え?私がいてもいいんですか?」
リーダ「いいんですよ!Milkさんだから、いいんですって。是非一緒に食べましょうよ。」
私は背中を押されるような格好で、座席に着いた。
この時は嬉しかった。自分のことを、こんなにも慕ってくれていたのかと思うと涙が出そうだった。
ある時は、そのラブライバーの子からこんなことを言われた。
「僕はね。このPJはクソッタレだと思ってますけど、Milkさんに出会えた。それだけでも意味があったと思ってるんです。」
この言葉は、今でも私の救いの言葉になっている。
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