韓国警察が夜間に海岸を監視・偵察するため、33億ウォン(現在のレートで約3億500万円。以下同じ)の予算を投じて配備した熱映像監視装置が、当初購入しようとしていた最新型の製品ではなく旧型のモデルで、性能検査報告書も無資格の業者が作成したでたらめなものという疑惑が持ち上がった。また韓国警察庁は、今回の国政監査で国会議員の指摘を受けるまで、こうした事実を全く把握できていなかったことが判明した。今年7月に韓国軍で、熱映像監視装置を含む海岸監視装置納品不正の疑いにより現役将校や軍務員(軍人以外の公務員)など9人が身柄を拘束されたのに続き、警察でも納品不正疑惑が持ち上がったのだ。
熱映像監視装置とは、赤外線を利用して、明かりがない場所でも人や物の位置・動きを見ることができる装置のこと。韓国警察は現在、各地の沿岸部や島で計31台を配備・運用している。
韓国の野党「国民の党」に所属する李容鎬(イ・ヨンホ)議員は4日「警察庁から提出を受けた熱映像装置関連の資料を専門家と共に分析した結果、2012年以降イスラエルの企業から納品を受けた装置10台、33億ウォン分について、警察庁が当初要求していた規格に合わないものであることが明らかになった」「警察は、購入要請書で最新型の製品を要請したが、実際に納品された製品は最新型ではなく、前のバージョンに属する旧型の装置だった。現在警察が配備している装置は、もともと買おうとしていた最新型の装置に比べて浸水や衝撃、温度変化などに弱く、夜間に物体を探知する際の精度も劣るなど、規格に合わない製品」と発表した。この10台の装置は現在、済州島と独島(日本名:竹島)、鬱陵島、可居島の計4カ所に配備されている。