一部には米政府がサムスンに圧力をかけ始めたとの見方もある。サムスンが9月2日にリコールを実施した際、CPSCの事前許可を受けなかったことについて、CPSCがかなり不快感を抱いたとする説もある。韓米の通商問題に詳しい財界関係者は「通常米国で企業が大規模リコールを実施する場合、米政府が決定を下す。そうした意味でCPSCはサムスンが越権行為に及んだと考えた可能性がある」と指摘した。その上、アップルのiPhone7の販売が低迷する間、ノート7がサムスンの歴代スマートフォンで最高の評価を受け、北米市場で影響力を拡大したことにも米産業界には都合が悪かったのではないかと言われている。
■米台政府の決定が転換点か
米CPSCは早ければ11日にもノート7新製品の爆発事故に関する調査結果を示す見通しだ。台湾政府が実施しているノート7爆発事故の調査結果も同様の時期に明らかになる見通しだ。サムスンも自社で爆発原因を調べているが、外国の政府機関の調査結果がノート7の生産中断問題で大きな不確定要素となる。特に製品の安全に関するCPSCの決定は米国だけでなく世界市場にも大きな影響を及ぼしてきた。
外国政府が調査の結果、ノート7には欠陥がないと判断した場合、生産は直ちに再開されるとみられる。欧州、インドなど他の市場での発売も軌道に乗る見通しだ。しかし、新製品に欠陥があると判断された場合、ノート7の再リコール実施など最悪のシナリオも予想される。たとえサムスンが全ての問題点を解決し、ノート7の販売を再開したとしても、販売時期は大きく遅れ、販売損失も雪だるま式に膨らみそうだ。サムスン幹部は「独自調査はもちろん、外国政府の調査結果に伴うあらゆるシナリオを想定して備えている」と話した。