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二兎を追う者マツタケ発見

そんな結末があってもいい

マイボトルにファニーな飲み物を入れて職場で飲んでやりたい!

たろきちの駄文 エッセイ お金 ネタ

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 ぼくはいつもマイ水筒を持ち歩いている。節約のためだ。コンビニやスーパーでお茶などのペットボトル飲料を買うと、毎日100円~180円近くかかってしまう。これを月あたりに換算すると、3000円から5000円ほどの出費になる。

 月3000円~5000円はけっして少なくはない。ぼくの大好物うな重の一食ぶんに相当する。毎日のお茶か、月一回のうな重か。どちらのほうがより幸せホルモンが放出されるだろう。悩むまでもなく後者だ。よってぼくはペットボトル飲料の購入を断ち、マイボトル持参男へと変貌を遂げたのである。

 マイボトルを手にしたぼくの前に立ちはだかったのは、「何を入れるか」という大きな壁。マイボトルの中身はけっして外からは見えない。極端な話、みそ汁を飲んでいても「あぁ、あの人お茶飲んでるな」くらいにしか思われないのだ。なんという自由。せっかくマイボトルを買ったのだから、とびきりファニーな飲み物を職場で平然と飲んでやりたい。そんな欲求が湧いてきた。

 しかし待て。先ほど挙げたみそ汁は塩分が多くてのどが渇く。なしだ。これだと結局、自販機でペットボトルのお茶を買うはめになる。なんという無駄足。二度手間。しかもよくよく考えたら、そこまでみそ汁愛強くないわ。

 お酒。これはなかなか背徳感が味わえそうだ。しかし待て。ぼくはアルコールに弱い。いわゆる下戸中の下戸。マイボトルに口をつけるたびに顔が赤くなる。周囲はすぐには気付かないだろうが、「たろきちさん顔が赤い。熱があるのかな。ちょっと声をかけてみよう。…うわ、クサッ!猛烈に酒クサッ!」という展開で中身が暴露する恐れがある。しかもよくよく考えたら、そこまでお酒愛強くないわ。

 豆乳。これは別に普通に飲んでいても咎められるようなモンじゃないな。うん。わざわざマイボトルに入れる必要はない。緑色の紙パックのまま飲めばいい。いやいや、節約のためにマイボトルにするんだから、紙パックの豆乳なんて買ってたら意味ないよ。あと、あれだ。マイボトルに乳製品を入れるってちょっと抵抗がある。飲むヨーグルトもなしだな。発酵しちゃいそう。勝手なイメージだけど。しかもよくよく考えたら、豆乳に多く含まれてる大豆イソフラボン(女性ホルモンと似た働き)、そこまで必要としてないわ。

 炭酸飲料。いいね、ファニーだ。そしてこれは学校や職場で飲むべきものじゃないな。ということは、マイボトルに入れる甲斐があるってもんだ。ようやくベストなパートナーを見つけたぜ。でもな。ボトルに注ぐ段階で炭酸のほとんどは泡になるな。しかも、マイボトルに口をつけるたびにゲップが出る。周囲はすぐには気付かないだろうが、「たろきちさんやたらゲップしてるなぁ。胃にガスが溜まってんのかな。一発ボディをくらわせて全部出させてやるか。うわ、ハンバーガー!机にハンバーガーとポテト!ということはアメリカ人の食事風景に照らし合わせて…飲み物はコーラに限る!」という展開で中身が暴露する恐れがある。しかもよくよく考えたら、砂糖を溶かした飲料全般が苦手だわ。

 うなぎのたれ。これは学校、職場、家、スタジアム問わず飲むモンじゃないな。あっという間に寿命を迎えてしまうな。1年間で3000円~5000円の節約を享受できるかどうかが怪しくなってくるな。生きてられるか分からないから。よってなし。マイボトルの掃除も大変そうだし。よくよく考えなくても、これはなし。

 カレー。これも引き続き飲むモンじゃないな。カレーは飲み物発言をするヤツがいるけどたいてい不健康な体型してるしな。だいたい、ボトルの口を大きめのジャガイモに塞がれて飲みにくくなりそうだしな。周囲はすぐには気付かないだろうが、「たろきちさんからなんかインドの雰囲気が感じられるな。ガネーシャの絵でも描いてるのかな。ちょっと声をかけてみよう。えぇ!ナンをかじっているぅ!マイボトルに口をつけて…ナンをかじっているぅ!ということは、インド人の食事風景に照らし合わせて…中身はカレーに限る!」という展開で中身が暴露する恐れがある。しかもよくよく考えたら、ナン売ってるところ見たことないわ。

 そしていま、ぼくが水筒に入れているのは白湯である。逆にファニーだろう。信州の綺麗な水を水道から補充し、そのまま職場へ持参している。これがカレーだったら。みそ汁だったら。そんな人生に思いを馳せながら、ぼくは白湯を飲む。しかし以前、「水筒になに入れてるの?」みたいな会話になったとき、白湯だということが周囲に暴露した。それ以来、ぼくのあだ名は「武士」になった。平成の武士。平成ノブシタロキチ。マイボトルからカレーを補充してあだ名が「カレーパンマン」になるよりはいささかマシだが。それでも遺恨あり。無念。