電通の新入社員の方の自殺が労災認定された件が話題になっていますが、海外経験豊富な @May_Roma (めいろま)さんは、日本社会に殺されたようなものだと語ります。
ネットではここ数日、 電通の新入社員の方の自殺が労災認定された件が話題になっています。
東大を卒業して電通に入社した高橋まつりさんは、入社後にインターネット広告を担当するデジタル・アカウント部に配属されましたが、月の残業時間が105時間を超え、昨年12月のクリスマスの日に会社の寮から投身自殺してしまいます。
ネットを見ていると大半の人の反応は、過酷な労働環境を批判するものですが、武蔵野大学の長谷川秀夫教授は、残業100時間で自殺とは情けないという死者にムチ打つ発言で大炎上しています。(その後謝罪)
高橋さんの死は「電通や広告業界特有の働き方が問題じゃないのか」と批判する人もいますが、長谷川教授や同世代の人々が「大した残業じゃないな。俺の頃はもっと酷い」と、腐ったクリープの様な発言をFacebookとかニュース何とかに投稿しているのを見ると、過労死とか長時間労働というのは、はっきりいって、広告業界とか官庁とか商社など、高学歴ハイスペック人材が集う職場だけの問題じゃなく、日本の文化的な話なんじゃないかと思うわけです。
広告業界の働き方の闇に関しては、中川淳一郎さんの博報堂時代の体験が参考になるわけですが、必要のない業務(例:無駄なあいさつ回り)、プレゼンティズム(自分の仕事は終わってるのに、先輩や上司のおつきあいで物理的に存在しなくてはならない)、長時間労働すると評価される、必要ない行事、社内営業など、とにかく無駄のオンパレードです。
しかしこういうのって広告業界だけじゃなく、日本の多くの職場では似たようなものですね。
大概の職場にはKPIなんてなくて、長時間いれば評価されます。飲み会で甲斐甲斐しく世話役をやれば「いい人」。専門知識がないバカでも料理の取り分けやってれば首になりません。
女性が職場の嫌な男に「女子力が足りない」なんて言われて、イジメを受けるのは当たり前みたいなもんですし、定時上がりなんて出来てる人のほうが少ない。
通信環境は多分世界最高の部類の国なんですけど、相変わらず在宅勤務も広まってない。効率、効率というわりには、文書管理システムとか、プロジェクト管理システムもなかなかいれない。ケチだから生産性を高めるような道具を入れたがらない会社や上司が多い。
日本は効率的で凄いとか吠えてるサラリーマンは真性のバカというか、田舎の田吾作なんじゃないですか。日本の会社の非効率ぶり、道具を入れないケチっぷりを見ると、欧州とか北米から来た人が凍りますからね。今だにFAXなんて使ってるの日本だけですし。会議にも無駄な人が大量に来るし。
ご挨拶とか情報交換という名目で、特に用もないのに会社に来たりする。「何で日本人用もないのに来るの?俺忙しいから迷惑なんだよね。人件費1時間いくらだと思ってんの?ただで話を聞こうってアホなんじゃないの?」と言ってる人が大量にいます。顔見せただけで業務発注したり、コラボしてくれるなんて甘い考えは通用しないですよ。日本じゃないですからね。
日本の会社だと、エクセルには誰かが作った凝ったテンプレを仕込んで、経理業務や文書作成にまで使うんですけど、テンプレの変更方法が異様に難しいので、フォーマットの変更に何時間もかかるなんてバカげたことがあって、さらに大馬鹿が多い会社だと、エクセルが方眼紙になっていて、そこに要件定義をかけとかいわれるんですが、それをインドに送ってしまって、インド人技術者が激怒して会社を辞めてしまったりします。タンザニア人とかボリビア人も驚いて凍ってましたよ。ナイジェリアでさえそんなもん使いませんから。(全部実話)
こういう無駄、非効率、変な慣行に、誰も文句を言わず、提案もせず、そのままにしている。理不尽な命令をされても何もいわずに従う。 日本のサラリーマンはバカの集まりなんじゃないかと思いますよ。
バブル世代が悪い、奴らさえ消えれば変わるといってる若い人もいますけど、私から見ると、日本の若い人は、年寄りたちの非効率性や、プレゼンティズム万歳の習慣をしっかり受け継いでいますよ。
だって欧州的なやり方を提案すると、ぎょっとする人が少なくないのですもの。KPIの勉強すらしようとしない。やりましょう、文書に落としましょう といっても「そんなに厳しくしなくても」という反応が返ってくる。
結局は、文句だけ言っていて何も変えたくないのです。長時間労働や職場のヘンな慣行に従ってれば、首にはなりませんから、多くの人にとっては、多分その方がいいんです。
この件だって、多分延々と電通だけを批判して、自分の働き方のことを考える人はいないでしょう。苦しそうな同僚のことは遠くから見るだけです。
死のうがどうしようが自分には関係ないし、ライバルが一人減ったぐらいにしか感じないのでしょう。
非効率の容認、無反抗、自分だけ目立たない、苦しそうな同僚に声をかけない、自殺しそうな同僚を無理やり病院に連れて行くようなお節介をしない。
そういう冷たさ、創造性のなさ、批判精神のなさ、無関心の積み重ねが高橋さんを殺してしまったのです。これは電通だけの問題じゃなく、日本の職場全体の問題です。
著書にも書きましたが、こういう人だらけの日本は、トイレはピカピカだけど、世界一貧しい国なのです。
May_Roma
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