2度目の直接対決 両候補が非難の応酬(討論要旨)

民主党クリントン候補、共和党トランプ候補による非難の応酬となった、第2回大統領候補テレビ討論会。議論のポイントな何だったのでしょうか。討論の要旨をまとめました。
トランプ氏が11年前に「有名人になれば女性は何でもしてくれる」などと、わいせつな言葉で女性を見下すような発言をしたことについて議論が交わされました。

トランプ氏は「あれはロッカールームでのおしゃべりのようなものだ。私は私の家族とアメリカ国民に謝ったし、とても恥ずかしく思っている。私は女性をとても尊敬しているし、私ほど尊敬している人はいない。そして女性からも尊敬されている」と釈明しました。
そのうえで、「われわれは、より重要で大きな課題に取り組まなければならない。アメリカを再び安全で偉大な国、そして裕福な国にする」と訴えました。

これに対してクリントン氏は、「あれを耳にした人すべてにとって、それがまさにトランプ氏が何者なのかを表していることは明白だと思う。外見で女性を1位から10位までランクづけをし、テレビやツイッターで女性を困らせる、それがトランプ氏だ」と批判しました。
そして、「トランプ氏は女性だけではなく、移民やアフリカ系アメリカ人やヒスパニック系、体の不自由な人たち、戦争捕虜、イスラム系の人などを攻撃してきた。アメリカはお互いを尊敬し、ともに力を合わせて活動し、多様性を祝福するから立派なのであり、それこそが私が知り、愛するアメリカだ。幸いにも大統領になることができれば、私が仕えるのは、そのようなアメリカであると今夜ここに誓う」と述べ、多様性を認める自分こそが大統領にふさわしいと強調しました。

これに対してトランプ氏は、大統領時代に不倫スキャンダルで波紋を呼んだ夫のクリントン元大統領を引き合いに出し、「ビル・クリントン氏はもっと悪い。私のは『言葉』だが、彼のは『行動』だ。この国の政治の歴史上、ビル・クリントン氏ほど女性を侮辱した人物はいない」と攻撃しました。
そのうえで、トランプ氏はクリントン氏自身も弁護士時代に、12歳の少女を暴行したとして起訴された男の弁護した際に、量刑を軽くするのを助け、少女を笑っていたなどとして、「彼女自身が恥を知るべきだ」と反論しました。

“女性蔑視発言”で激しい議論

トランプ氏が11年前に「有名人になれば女性は何でもしてくれる」などと、わいせつな言葉で女性を見下すような発言をしたことについて議論が交わされました。

トランプ氏は「あれはロッカールームでのおしゃべりのようなものだ。私は私の家族とアメリカ国民に謝ったし、とても恥ずかしく思っている。私は女性をとても尊敬しているし、私ほど尊敬している人はいない。そして女性からも尊敬されている」と釈明しました。
そのうえで、「われわれは、より重要で大きな課題に取り組まなければならない。アメリカを再び安全で偉大な国、そして裕福な国にする」と訴えました。

これに対してクリントン氏は、「あれを耳にした人すべてにとって、それがまさにトランプ氏が何者なのかを表していることは明白だと思う。外見で女性を1位から10位までランクづけをし、テレビやツイッターで女性を困らせる、それがトランプ氏だ」と批判しました。
そして、「トランプ氏は女性だけではなく、移民やアフリカ系アメリカ人やヒスパニック系、体の不自由な人たち、戦争捕虜、イスラム系の人などを攻撃してきた。アメリカはお互いを尊敬し、ともに力を合わせて活動し、多様性を祝福するから立派なのであり、それこそが私が知り、愛するアメリカだ。幸いにも大統領になることができれば、私が仕えるのは、そのようなアメリカであると今夜ここに誓う」と述べ、多様性を認める自分こそが大統領にふさわしいと強調しました。

これに対してトランプ氏は、大統領時代に不倫スキャンダルで波紋を呼んだ夫のクリントン元大統領を引き合いに出し、「ビル・クリントン氏はもっと悪い。私のは『言葉』だが、彼のは『行動』だ。この国の政治の歴史上、ビル・クリントン氏ほど女性を侮辱した人物はいない」と攻撃しました。
そのうえで、トランプ氏はクリントン氏自身も弁護士時代に、12歳の少女を暴行したとして起訴された男の弁護した際に、量刑を軽くするのを助け、少女を笑っていたなどとして、「彼女自身が恥を知るべきだ」と反論しました。

“所得税逃れ” 税制めぐり主張対立

トランプ氏が長年、所得税の支払いを免れてきた可能性があると報道されたことについて、トランプ氏は「私は何億ドルもの税を支払っているが、クリントン氏の友人にはもっと多くの控除を受けている人たちもいて、彼女に献金している。上院議員だったクリントン氏が制度を変えなかったのは、友人たちが控除を利用しているからだ。彼女が私たちに与えてくれたも同然だ」と主張しました。

これに対してクリントン氏は、トランプ氏は20年間、所得税を支払っていないと改めて主張したうえで、「トランプ氏の言葉は正しくない。制度を変えられなかったのは、私が上院議員だった当時は大統領が共和党だったからだ」と反論しました。
また、クリントン氏は「トランプ氏の計画は、トランプ氏のような富裕層や企業に対するこれまでにない減税で、結局、多くの中間層の世帯に対する増税になってしまう」と述べ、富裕層への課税を強化する方針を示しました。

一方のトランプ氏は、「自分は中間層の税率を下げようとしているが、クリントン氏が大統領になればすべての人が大増税になる。国全体にとって最悪の事態だ」と主張して、クリントン氏を攻撃しました。

メール問題で応酬

クリントン氏が国務長官在任中に私用のメールアドレスを公務に使っていた問題をめぐって議論が交わされました。

共和党のトランプ候補は、「公務に使っていた私用のメールアドレスから3万3000通を削除したことについて、クリントン氏は謝罪すべきだ」と批判したうえで、「クリントン氏はうそをついたりごまかしたりしているので、私が大統領になれば特別検察官による捜査を指示する。あなたは刑務所に入ることになる。国民は怒っているんだ」と攻撃しました。

これに対してクリントン氏は、「私用のメールアドレスを使ったことは過ちで、その責任は取る」と謝罪したうえで、「調査の結果、使っていた私用のメールがハッキングされたり極秘文書が悪人の手に渡ったりしたという証拠はない」と反論しました。

イスラム教徒 シリアの難民支援 どう対応

イスラム教徒への対応やシリアの難民支援の在り方をめぐっても議論が交わされました。

会場から「私のようなイスラム教徒が、イスラム恐怖症が増えて国への脅威というレッテル貼りに対応するのをどのように支援してくれるのか」という質問が出たのに対し、トランプ氏は「すべてのことには理由がある。イスラム教徒は問題を目にすることがあったら通報しなくてはいけない。それをしてくれないなら、国にとって厳しい状況だ」と述べて、いずれも過激思想に染まったと見られる男が起こしたことし6月のフロリダ州オーランドのナイトクラブでの銃の乱射事件や、去年12月のカリフォルニア州サンバーナディーノでの銃の乱射事件などを引き合いに出しました。

これに対しクリントン氏は、「私はあなたやあなたの家族のような市民が、ほかの誰とも同じように歓迎される国を望む。トランプ氏のイスラムに対する扇動的な言葉遣いに関わるのはとても視野が狭く、危険ですらある」と批判しました。
そのうえでクリントン氏は「私はイスラム国家と協力し過激派組織IS=イスラミックステートを打ち負かしたいが、現在は多くの国がトランプ氏の発言を聞いて、どうしてアメリカと協力しなければいけないのかと疑問に思っていて、これではISやテロリストたちを利するだけだ」と述べました。

また司会者が、アメリカへのイスラム教徒の入国を禁止するとしたトランプ氏の発言について「あなたの副大統領候補は今週、それはもはやあなたの取っている立場ではないと述べたが、そのとおりか?」と質問したのに対し、トランプ氏は直接は答えませんでしたが、「私はセーフゾーンを作るべきだと考える。すでに国が多くの問題を抱えている中で、さらに、何者か、価値観も、わが国に愛情を持っているかもわからないたくさんの人々がシリアから入ってきてほしくはない」と述べました。

これについて司会者がクリントン氏に、「あなたはシリア難民の受け入れ数を増やすよう要求したが、難民の入国に伴うリスクはどうするのか」と質問したのに対し、クリントン氏は「われわれに対しリスクとなる人物は決して入国させない。しかし女性や子どもを含む多くの難民がいて、われわれは、われわれの役割を果たさなくてはいけない。ただ、入国審査は専門家たちが必要とする厳しさを確保する」と述べました。

シリア情勢めぐり 主張対立

内戦の続くシリアについて、民主党のクリントン氏は「ロシアはISに関心を払っておらず、アサド政権を維持したいと思っている」と述べ、ロシアの空爆などで被害が広がっているとして飛行禁止空域の設置を訴えました。

そのうえでクリントン氏は「私はロシアに立ち向かってきたし、大統領になってもそうする。シリアやロシアが犯した戦争犯罪を調査しようという取り組みを支持する」と述べました。
その一方でクリントン氏は、シリアへの地上軍の派遣は「非常に深刻な過ちになる」と述べ、地上軍ではなく特殊部隊を活用するとし、イラクではクルド人の武装勢力に武器を供与するなどしてISを排除すると主張しました。

これに対して、共和党のトランプ氏は「クリントン氏の外交政策のほぼすべてが過ちだった。アサド政権やロシア、イランが協力してISを攻撃しているが、それはアメリカの外交政策がひ弱だからだ」と述べ、国務長官を務めたクリントン氏が事態が悪化する前に対処すべきだったのにしなかったと批判しました。
さらに、トランプ氏は「クリントン氏は反政府勢力を支持し、アメリカはいつも彼らに武器を供与してきたが、結果的に事態は悪化した」と批判しました。

ただ、司会者が「副大統領候補のペンス氏はロシアがアサド政権とともに空爆に関与し続けるなら、アメリカはアサド政権軍に対する軍事力の使用に備えるべきだと主張していますが」と質問すると、トランプ氏は「彼とは話していないが、私は反対だ」と述べ食い違いを見せていました。

エネルギー政策めぐり議論

エネルギー政策をめぐっても議論が交わされました。

トランプ候補は、エネルギー政策について問われ、「化石燃料に替わるものとして、風力発電や太陽光発電などがあるが十分ではない」と述べたうえで、「クリントン候補は、炭鉱労働者から仕事を奪おうとしているが、アメリカに石炭は、あと1000年分はある」と批判しました。
そして、「アメリカには20兆ドルの借金があるが、化石燃料など、これまでのエネルギー関連会社を復活させることで、借金を完済させられる」と主張しました。

また、「中国のダンピングによってアメリカの鉄鋼業は雇用を失っている」と指摘するとともに、「ウェストバージニア州やオハイオ州、ペンシルベニア州に行って炭鉱労働者やエネルギー産業の人々に何が起きているか見るべきだ。恥ずべきことが起きている」と述べて、オバマ政権の政策が多くの雇用を奪っていると批判しました。

これに対してクリントン氏は、「トランプ氏は、中国が不法に安く輸出している鉄を購入してビルを建ていて労働者の失業につながっている」と批判しました。
そのうえで「中国の鉄鋼業のダンピングなどを防ぐために貿易に関する検証を行っていく」と主張しました。

また、「気候変動の問題は、深刻で、できるだけ早くクリーンで再生可能なエネルギーへと移行すべきだ。この分野はばく大な雇用やビジネスを生み出すものだ」と述べて、再生可能エネルギーの産業育成に力を入れる考えを示しました。

会場から「互いのよいところは?」

討論会では非難の応酬が続きましたが、最後に会場から、相手候補の尊敬するよいところを1つ上げるならばどこかという質問があり、雰囲気が和らぎました。

はじめに答えたのはクリントン氏は、「私は彼の子どもを尊敬している。彼の子どもは信じられないくらい能力があり献身的だ。それはトランプ氏について多くを語っている。そしてそれは、母親であり祖母でもある私にとっても大切なことだ」と述べました。
そのうえで、「この選挙はとても対立的で感情的で通常の選挙戦ではない。だから私は特定の政策や計画を前面に出し、個人的なことを排除しようと努めてきた」と説明し、個人的な中傷合戦をやめ、具体的な政策を議論するべきだと主張しました。

一方、トランプ氏は「とてもすてきな褒め言葉だ」と述べたうえで、「クリントン氏は投げ出さず、途中で諦めない。私はそこを尊敬している。彼女は懸命に闘い、やめることはない。そこが彼女のとてもよい特徴だと思う」と述べて討論会は幕を閉じました。