脳科学がマーケティングの限界を打ち破る
人の無意識に迫る
「ニューロマーケティング」の威力
人の行動は無意識下の意思決定に大きな影響を受ける──。その無意識に迫る「脳科学」がマーケティングの限界を打ち破ろうとしています
人の行動は無意識下の意思決定に大きな影響を受ける──。その無意識に迫る「脳科学」がマーケティングの限界を打ち破ろうとしています
今日のマーケティングでは、アンケートやグループインタビューといった調査によって消費者のニーズを探ろうとするのが一般的です。ところが、それらの調査結果と実際の購買行動に相関性が見られない場合も少なくなく、調査が必ずしもヒット商品やロングセラーの創出に結びつくとは限りません。
このような調査結果と購買行動のギャップを埋める一手として期待と注目を集めているのが、「脳科学」を応用した「ニューロマーケティング」です。
脳科学の研究により、人は「商品を選んだ理由や好きな理由」を言葉で正しく説明することが難しいということが分かっています。また、いわゆるアンケートの「好意度」と商品の実際の売上げに相関がなく、脳の側坐核と呼ばれる領域の活動では正の相関があることも突き止められています。さらに、目から脳に入ってくる“ブランド”の印象が被験者の感じる「おいしさ」といった感覚・体験を変え、さらには行動まで変化させることが分かっています。
このように、人の実際の行動には、意識には上らない脳の反応が大きく影響しています。ニューロマーケティングは、そうした脳の反応・活動を計測・分析して、消費者のより精緻な行動予測や商品・ブランドの市場性評価に役立てる手法です。さまざまな研究を通じてその有効性が実証されており、応用も進んでいます。
NTTデータは既に、ニューロマーケティングを実践するための各種ソリューションの拡充を進めています。
その中のひとつが、脳科学技術の産業応用に取り組むNTTデータ経営研究所と、脳科学の世界最先端の研究を行う情報通信研究機構の「脳情報通信融合研究センター」と連携して開発した動画広告評価ソリューション「NeM sweets DONUTs」です。これは、脳情報の解読技術と人工知能によるテキスト処理を組み合わせて実用化した世界初のサービスです。テレビコマーシャルを視聴している被験者の脳活動を計測し、その結果から、どのシーンが「格好いい」、「カワイイ」、「高級」といった印象をどの程度与えているかを分析します。これにより、映像のインパクトを分析したり、「広告主が動画に込めた狙い」と「実際に視聴者に与えた印象」とのギャップを定量的に分析したりすることが可能になります。
このほか、ブランドの強み・弱みを評価し、具体的なアクションプランの提案につなげるブランドイメージ評価サービスや、被験者のウェアラブルデバイスから入手した脳と行動のセンシング結果を分析し、施設の空間改善に役立てる商業施設改善ソリューションなども提供しています。
今後、あらゆる事業領域で、脳科学を応用した「人理解」のテクノロジー「ニューロテック」の活用が進み、それがビジネス価値向上へとつながっていきます。なかでも、ニューロマーケティングは、企業のマーケティング活動や意思決定には欠かせない新たな情報元を提供するでしょう。NTTデータはこのニューロマーケティングを先駆けとして、脳科学を社会全体の問題解決と質向上に役立てていきます。