図書館の指定管理者制度 2017年4月1日導入-恵庭
(2016年 10/8)指定管導入の理解を得るため答弁に立つ穂積教育長
恵庭市教育委員会が検討を続けてきた、図書館の指定管理者制度(以下指定管)導入。開会中の市議会第3回定例会で一般質問、総務文教常任委員会、決算審査と議論を深めてきた。指定管導入では異例とも言える、募集要項案などの事前公開も行われ、市教委は不安や疑問点などをおおむね解消できたと判断。2017年4月1日の導入を目指しており、14日の臨時教育委員会で正式決定する見通しになった。
指定管は行政と民間がお互いの役割を契約で決めた上、複数年契約を結んで施設管理などを任せる制度で、契約するには議会の議決が必要。近隣では千歳や苫小牧などの図書館が導入している。市教委は行財政改革の一環で検討を始めたが、「読書のまち」は恵庭の特徴とあって慎重に議論してきた。一方で、11年度から図書館流通センターに窓口業務を委託し、開館時間の延長や祝日の開館、道内初の読書条例「恵庭市人とまちを育む読書条例」の制定など、民間活力の導入で成果を上げてきた。
市教委はもともと6月の市議会第2回定例会後、指定管導入を正式決定する方針だったが、この議会で「市民の不安もある。十分に説明した上で進めて」の声を受け、正式決定を先送りした経緯がある。前年度からフォーラムや説明会を開いてきたが、さらに市民やボランティアの不安解消などに務めようと、7月に利用者アンケートを行い、9月に改めて市民説明会も開いた。議会に対しても9月30日の総務文教常任委で、通常であれば事業者の公募に合わせて公開する、募集要項や業務仕様書の案を示すなど丁寧な説明に努めてきた。
特にこの仕様書案では、図書館サービスの基本理念を示しつつ、「読書のまちづくり」のさらなる推進につなげる「サービス設計の必須要件」も明示した。図書館の開館日、開館時間の拡大、レファレンスサービスの充実や利用者の促進、図書館資料の充実と利用の促進、ホームページの充実、適正な資料の管理などはもちろん、「図書館ボランティアなどとの協力、連携の仕組みづくり」なども事業者に求める方針を示した。
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そもそも議会は「賛成派」が過半数の構図で、今定例会でも指定管導入の後押しが目立った。「反対派」は一部にとどまっており、それら反対派の議論も「(議論が)かみ合わなくて、なかなか歯がゆい」(市理事者側)などの答弁が出るほど。例えば柏野大介氏(諸派)が「ボランティアの声を無視する形で、指定管を導入することは信頼関係を壊すもの」と訴え、橋場誠次教育部長が「ボランティアとの関わりは、これまでと変わらず進めると、根気強く説明してきた」と答えるなど、反対派の一般質問は平行線に終始した印象だ。指定管の17年4月導入には「待ったなし」で、今定例会で議論が煮詰まったと判断した。
7日の決算審査特別委員会の総括質疑で、最大会派・清和会の小橋薫氏の質問に対し、穂積邦彦教育長は改めて指定管導入への決意を語り「議会終了後の教育委員会にお諮りしたい」と明言した。これまでの議会議論をはじめ、市民やボランティアへの説明などの経過を振り返り「意見や疑問点、要望などを聞きながら、繰り返し説明し、導入後の具体的な姿を示してきた。市民の不安や疑問点はおおむね解消された。要望なども指定管の募集要項や業務仕様書に反映した」と力を込めた。
橋場教育部長は総文委の答弁で「(6月議会後の指定管正式決定を先送りした時点で)17年度当初は難しく、3カ月ほどずらして導入することも検討した」と振り返り「図書館の人員配置や経費が増える不安もあった。17年4月1日導入の制度設計にしたい」と強調する。14日の臨時教育委員会で指定管導入が正式決定すれば、25日から1カ月間かけて指定管理者を公募。ただ11、12月の市議会定例会への議案提案は間に合わない見通しで「来年の市議会第1回定例会(2月開会)の提案では導入が間に合わなくなる。年明けの臨時議会を視野に入れて議案を提案したい」としている。