東芝本社ビル=東京都港区で2015年12月28日、内藤絵美撮影
東芝の不正会計問題による株価下落で損害を負ったとして、公的年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が、保有株を委託している信託銀行を通じて東芝に約120億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、東京地裁(鈴木正弘裁判長)で開かれ、東芝側は請求棄却を求めた。
原告はGPIFから株の保管・管理を委託されている日本トラスティ・サービス信託銀行(東京都)。
GPIFによると、不正会計問題発覚直前の2015年4月から5カ月間で1株あたりの株価が160円下がったとして、119億9261万円の賠償を求めている。損害額は算定方法などによって変わるため、請求額は約216億円まで膨らむ可能性があるという。
GPIF側は今回の訴訟とは別に、公募増資で取得した株でも損害が生じたとして約9億6400万円の損害賠償を求めて東芝を提訴。現在は請求額を約12億6200万円に拡大している。東芝によると、他に個人投資家約400人が東京、大阪などの地裁で総額約15億円の賠償を求めて計10件の訴訟を起こしている。【伊藤直孝】