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【ゴルフ】

池田勇太がプレーオフ制しV ツアー史に残る死闘

2016年10月11日 紙面から

プレーオフ通算9ホール目でバーディーを決め、笑顔の池田勇太

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◇ツアーワールド・カップ<最終日>

 ▽プレーオフ▽10日、茨城県小美玉市、石岡GC(7071ヤード、パー71)▽曇り、気温17.1度、北東2.0メートル▽賞金総額1億円、優勝2000万円▽2選手▽観衆なし

 日没で順延されたプレーオフ(PO)が5ホール目から再開され、通算9ホール目にバーディーを奪った池田勇太(30)=日清食品=が宋永漢(ソン・ヨンハン)=韓国=に競り勝ち、月曜日に持ち越された史上初のPO決戦を制した。今季2勝目、ツアー通算15勝目。無観客という異例の条件下、5日間で計81ホールの熱戦に競り勝った。

◆珍事!隣のホールから一般客の「ファーッ!!」

 観衆は“ゼロ”。隣接するホールからは「ファーッ!!」という一般客の声がしきりに飛んだ。異例の無観客PO決戦。注がれる拍手はまばらだったが、ツアー史に残る熱闘、激闘だった。

 午前7時30分に再開し、決着したのはまだ朝露が残る同8時50分。PO9ホール目、パーセーブした相手のプレーを見届けても、血気盛んな池田は落ち着いていた。

 「神様が『おまえはどこまで我慢できるんだ』と試練を与えてくれたと思った。おかげで、吹っ切れたような気がした」

 下り2メートルのバーディーパット。慎重に押し出した球はゆっくりと転がり、カップに消えた。池田は安堵(あんど)の表情を浮かべ、一拍置いて、喜びの感情を爆発させた。駆け寄る坂井恵キャディーを正面から抱え上げ、無邪気に笑い転げた。「どっちが勝ってもおかしくなかった。最後は運が味方してくれた」。喜びをかみしめ、小さく息を吐いた。

 5日間、計81ホール。決してじれなかった。PO8ホール目まではパーばかりが並んだが、「短気になったらいけない。できることをやると言い聞かせた」。9月のANAオープン、先週の東海クラシックは最終日の最終ホールにボギーをたたいて2位に甘んじた。ただ、不運を嘆くのではなく、あるがままの自分を受け入れたからこそ、耐えることができた。

 8月末のKBCオーガスタ後。7年半で14勝を挙げてきた相棒、福田央キャディーとのコンビを解消した。「新しい自分を見つけたい。ぼくの気持ちで卒業してもらった」。もっと強くなるために−。その一心だけだった。

 今季の獲得賞金は1億円を超え、賞金ランクは2位に浮上した。「いい起爆剤。賞金王に向けて、一試合一試合をしっかり戦っていく」。勝利の女神を振り向かせる、会心の優勝劇だった。 (松岡祐司)

<最長PO> 1976年のペプシウイルソン(宇部CC万年池C)で行われた14ホールがツアー最長。P・ワトソンが宮本省三ら4人による闘いを制した。

 

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