昨日のTV放映で一番言われたのが「集団痴漢なんて存在するの?」ということでした。
私のケースのお話を詳しく書こうと思います。
ここから先は読む方によっては苦しくなったりする可能性もありますので、心に余裕のある方のみ読んで頂けたらと思います。
フラッシュバックなど、起こさないように注意書きをしておきます。
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私は学生時代、埼京線を使っていました。
埼京線の先頭車両というのは痴漢の間で痴漢電車として有名らしく痴漢をするために電車に乗っている人もいます。
だから埼京線を使うとき、先頭車両には絶対に乗らないようにしていました。
とくに先頭車両の一番前のドアは、地獄です。
慣れるとわかるのですが、埼京線のホームにいると痴漢をするために品定めをしている人がいます。そういう人は後ろに回り、乗り込むタイミングから痴漢を始めます。
私は以前痴漢で新宿の鉄道警察にお世話になったことが在り、その方々に他の日に帰り道に埼京線でお会いしたとき、埼京線で囲み痴漢をするためにネットの掲示板で痴漢仲間を募集する書き込みがあったとのことで見回りをしていると伺いました。
私は埼京線で囲み痴漢の被害に遭ったのは、実はTVで放映されたことのときが初めてではありません。
高校1年生のとき、当時付き合っていた彼氏と一緒に埼京線で帰っていたとき、ホームの端が階段だったため、つい走って先頭車両に乗り込んでしまい、囲み痴漢に初めて遭遇しました。
彼氏はドア側に追いやられ、私はドアとドアの真ん中で四方八方から手が出てきます。
触っていない人も、見物しているのです。混乱して声も出せない状況でした。
1駅後になんとか彼氏が引っ張りだしてくれて出ることが出来ました。
それが私が初めて囲み痴漢に遭遇した時でした。
しかし、当時、囲み痴漢をいかに証明するのかわからないため、警察に行っても仕方ないのかもしれないと思いました。
早めに引っ張りだしてもらえて被害も比較的浅かったので、警察にはいきませんでした。
そして件のTVの事件ですが、私はその日は春休みで、髪を切りにいった帰り道でした。
私はフィリピン留学から帰ってきた直後でした。
いつもなら満員電車に駆け乗るという自殺行為はしないのですが、気が緩んでいて、走って先頭車両の一番前のドアに駆け乗ってしまいました。
その瞬間沢山の人の手が伸びながら、ドアとドアの間の真ん中に押しやられ、四方八方から手が伸びてきます。
そして私を中心にして、沢山の人達が私の方を一斉に向いています。
何もしていない人も見ているのです。
最初は混乱して、とにかく手を振り払うのに必死で。
とにかく次に開くドア側へ逃げようとします。
それでも押し戻され続けます。
ブラのホックを外され、下着の中にも手を入れられ、
体中触られていました。
もみくちゃにとにかく乱暴に。
そのとき、私はスカートにソックスで、履いていたのが紐で結ぶタイプのショーツだったため、下着を剥ぎ取られました。
降りようとしても真ん中に引き戻される。
「やめて下さい、降ろして下さい」
と言ってももちろんやめずに、誰も助けてくれません。
今でもあの異様な光景のイメージは強く頭に残っています。
欲望の渦に巻き込まれる感覚。
こんなにもたくさんの人間が、自分の欲望を満たすためだけに人を傷つけることができるのか、と絶望してしました。
男たちはターミナル駅で一斉に降り、私は軽く服を整えたら放心状態のまま電車に乗り、その次の駅で私もなんとか降りて、ボロボロのままホームのベンチに倒れこみ意識を失いました。
夜でホームの端だったので誰もいませんでした。
被害から抜けてから家に帰るまでのことは当時の日記でも記憶が曖昧です。
解離症状があったのだと思います。
そのときはショックでほとんど話すことも苦しくなり、 警察に行くどころではありませんでした。
おそらく私は母に電話をしたのでしょう。
迎えに来てくれた母に、連れられて帰ったことは覚えています。
そのときは訴えるという気力もありませんでした。
訴えるのは無理だと思っていましたし、証拠もないのに、訴えるための労力を割く余裕はまったくありませんでした。
その当時すでに複数の被害経験があったのが重なって、限界でした。
これ一つというよりは今までの経験すべてで限界でした。
それから満員電車が辛くなり、人口密度の高い密室にいるのが耐えられなくなりました。
頻繁に意識を失うようになり、倒れることが増え、大学に通えなくなりました。
私はその後寝こむことが増え、ひきこもりになり、もともと行動的だったのにやりたいことができなくなりました。
でもこのままで終わらせたくない!と被害をブログで公開し始めました。
当時小林美佳さんの著書を見たのがきっかけです。
それから中野さんに出会いしあわせなみだで活動を始め、今に至ります。
性犯罪というのは本当に信じられないことばかりです。
今まで生きてきた常識なんて覆されてしまいます。
そんなことが現実に起こるはずなんてない、と思うのも、分かります。
だって私だって遭うまでは知りませんでした。
でも、この活動を始めて、たくさんの方が
「実は..」
と相談したり、打ち明けてくれるようになりました。
隠れた被害がこれだけあり、そしてその反対に自分の身近にあるわけがないと思っている人の多さにも驚きました。
あるわけないと思うから、そんなことに遭うお前がおかしい、となってしまう。
そんなことに遭う自分が悪いのかとひたすら自分に原因探しをしてしまう。
そのことにより、一度被害に遭った人は複数の被害に遭うようになります。
性暴力に遭いやすい人というのは確かにいるのも事実で。
— 卜沢彩子 (@ayakourasawa) 2015, 11月 18
でもそれは「自分は性暴力に遭っても仕方のない人間だ」「性暴力に遭いやすいのは自分に原因があるのかもしれない」
と思っている人なんですよ
つまり、性暴力に遭う人を心配して原因探しをして追い詰めることこそが遭いやすくなる一番の原因になってしまうのではないかと思います。
— 卜沢彩子 (@ayakourasawa) 2015, 11月 18
だから私はどうしたら遭わなくなるか?と聞かれたら「私は性暴力にあっていい人間じゃない」
— 卜沢彩子 (@ayakourasawa) 2015, 11月 18
と思うこと、「あなたは性暴力にあっていい人間じゃない」
ということを伝えることではないかと最近思うようになりました。
性欲を刺激するか、ではなく支配欲を刺激するかなんですよ。
— 卜沢彩子 (@ayakourasawa) 2015, 11月 18
自分に責任を求めそうな人を狙うんです。
ずっと言われてきた当たり前の言葉が最近すっと落ちてきました。
目を背けたくなると思います。
見たくない時に積極的に向き合って考えろ、というのは違うと思います。
男性が悪いのではありません、男性でも被害に遭いますし、そもそも男女で対立しても無意味です。
悪いのは性暴力をする人、痴漢、そしてなによりそれを許す風潮、それを生み出す社会構造です。
それを変えていくために動くことは、きっと多くの人が生きやすい環境を作ることになると思っています。
そういう現状がある、ということを知っていただけて、頭においてもらって、考えるきっかけになったら幸いです。