朝倉祐介:
未来をつくるU-40経営者
次の10年、20年はどのような世界になるのだろうか。そして、未来をつくるのは誰か。『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』40周年記念号は、これからの世界を変えていくであろう、40歳未満の経営者を20人紹介する。「未来を予測する最善の方法は、未来をつくることだ」というアラン・ケイの言葉を実践する、志を意欲を持った多彩な20人である。(写真/鈴木愛子)
※本サイトでは、本誌2016年11月号より、五十音順で毎日一人ずつ紹介します。
オールラウンド経営者
朝倉祐介(スタンフォード大学客員研究員)
東大法学部在学中に起業して経営者の道を歩み、世界最高峰の外資系コンサルティング会社を経て、30歳で上場企業の社長を務める。その経歴だけに目を向けると、朝倉祐介氏は間違いなくエリート中のエリートだ。だが、そのキャリアは2度の大きな挫折から始まった。
朝倉氏は、中学卒業後、騎手を目指して単身オーストラリアに渡った。しかし身長が伸びすぎて騎手を断念せざるをえず、16歳で帰国。それからは北海道の牧場で働いていたが、交通事故で左足を粉砕骨折して肉体労働そのものが困難に。「馬のいない生活は考えられなかった」少年の夢は完全に閉ざされた。同氏が東京大学の門を叩くのはそれから3年後、自身のキャリアを切り拓くために専修学校を卒業してからのことだ。「彼はその才能に努力を重ねてきた。成し遂げたい物事に対して、社会通念に囚われない柔軟な発想ができ、筋道ある打ち手を実行する力がある」(琴坂)と言われるように、みずから目標を定めて着実に達成する原点はそこにある。
「よく馬が好きかと聞かれますが、正確には好きな馬と嫌いな馬がいます。素直に反応する馬、成長が目に見える馬は好きです。それは人間と一緒ですね」と語る朝倉氏だが、他人の成長以上に自分自身が成長し続けることに貪欲だ。年末にはスタンフォード大学の任期を終える。「起業からバイアウト、事業再生の経験もあり、スタートアップも大企業も知る。この経験値を糧にどんな局面でも結果を出せる」(高宮)と、彼の次なる挑戦に誰もが注目している。
1982年│大阪府大阪市生まれ。
1998年│中学卒業後、騎手を目指して単身でオーストラリア・クイーンズランド州へ渡り、競馬騎手養成学校入学。帰国後、北海道で競走馬の育成業務に従事。
2003年│東京大学教養学部文科Ⅰ類入学。
2006年│ネイキッドテクノロジー設立。
2007年│東京大学法学部卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。
2010年│マッキンゼー・アンド・カンパニー退社後、ネイキッドテクノロジーに復帰。
2011年│ネイキッドテクノロジーをミクシィに売却して、自身も入社。
2013年│ミクシィ代表取締役社長に就任。
2014年│業績の回復を機に同社を退任後、スタンフォード大学客員研究員に就任。複数企業の取締役、アドバイザーを務めるほか、起業経験者によるスタートアップ投資活動(Tokyo Founders Fund)も開始している。
著書に『論語と算盤と私』(ダイヤモンド社、2016年)がある。
入山章栄|早稲田大学ビジネススクール 准教授
岩田彰一郎|アスクル 代表取締役社長兼CEO
北野宏明|ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長
琴坂将広|慶應義塾大学 総合政策学部 准教授
篠田真貴子|東京糸井重里事務所 取締役CFO
高宮慎一|グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー/CSO
出口治明|ライフネット生命保険 代表取締役会長
藤沢久美|シンクタンク・ソフィアバンク 代表
星野佳路|星野リゾート 代表
岩佐文夫|本誌編集長
*文中( )内の名前は委員の名前を示す。
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『未来をつくるU-40経営者』
次の10年、20年はどのような世界になるのだろうか。そして、未来をつくるのは誰か。本誌40周年記念号は、これからの世界を変えていくであろう、40歳未満の経営者を20人紹介する。「未来を予測する最善の方法は、未来をつくることだ」というアラン・ケイの言葉を実践する、志を意欲を持った多彩な20人である。
【特集】未来をつくるU-40経営者
◇ U-40経営者20人
◇ 未来を希望に変えるのは誰か(瀧本哲史)
◇ HBRに登場したU-40経営者
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- 第1回 朝倉祐介: 未来をつくるU-40経営者 (2016.10.11)