iPS細胞使いサルの心筋梗塞改善 初めて成功と発表

心筋梗塞を起こしたサルにiPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞を移植し、症状を改善させることに世界で初めて成功したと信州大学のグループが発表しました。グループは数年以内にヒトでの臨床試験を始める計画で、ヒトに近いサルでの成功は大きな一歩になるとしています。
この研究を行ったのは信州大学の柴祐司准教授のグループです。グループでは、拒絶反応を起こしにくい特殊な免疫のタイプを持つサルからiPS細胞を作りだし、心臓の筋肉の細胞に変化させました。そして、心筋梗塞を起こしたサル5匹に移植したところ、いずれのサルも拒絶反応を起こさず、移植前に比べて心臓の収縮力が改善し、血液を送り出す量も平均でおよそ8%増えたということです。

その一方で、移植後、一時的に不整脈が増える現象が見られたということで、グループでは今後、こうした副作用と見られる症状を減らす研究も進めていくことにしています。

iPS細胞から作った心筋細胞を移植して、サルで心筋梗塞の症状を改善させたのは世界で初めてで、柴准教授は「ヒトに近いサルで効果が確認できたのは大きな一歩だ。不整脈の増加なども確認されたので、臨床試験を始めるうえで、さらに研究を進めていきたい」と話しています。