三菱自動車はサッカーJ1浦和レッズの一部株式を三菱重工業に売却する方向で最終調整に入った。三菱自は月内にも日産自動車から34%の出資を受け、事実上日産グループに入るが、日産はJ1横浜F・マリノスの株式を約75%保有している。Jリーグは企業が複数クラブの運営に関与することを禁じているため、三菱自は三菱グループの中核企業、三菱重工に浦和を委ねることにした。
三菱自は売却により浦和への出資比率を現在の50.6%から20%未満へと引き下げる。三菱重工は現在、浦和株の1%強を保有するが、三菱自からの追加取得で筆頭株主になる。三菱グループ他社や地元企業に一部株式を引き受けてもらう案も出ている。浦和の名称は「地元に定着している」(三菱自幹部)として変更しない。
浦和は1950年発足の中日本重工業(現三菱重工)サッカー部が源流。90年に三菱自に移管され、93年のJリーグ開幕時に参加した。「レッドダイヤモンズ」の名称は三菱グループの「スリーダイヤ」にちなんでおり、屈指のサポーター数を誇る。
Jリーグは6月の臨時理事会で、浦和が日産の子会社か関連会社になればリーグの規約に抵触するとの解釈を確認し、浦和に通達していた。このため、三菱自が日産との資本提携を決めた5月以降、三菱グループ内で対応策が話し合われていた。【宮島寛、谷口拓未】