【上海=小高航】中国の国有鉄鋼大手、東北特殊鋼集団(遼寧省)が経営破綻した。国営新華社によると、大連市の中級人民法院(地裁)は10日、東北特殊鋼の債権団が提出していた同社の破産申請を受理した。東北特殊鋼は鉄鋼需要の減少やリストラの遅れから経営難に陥り、今年に入り9回の債務不履行(デフォルト)を起こしていた。
東北特殊鋼は遼寧省政府が約70%の株式を保有する国有会社で、非上場。中国メディアによると、9回のデフォルトで支払えなかった負債の合計は計40億元(約600億円)前後。債権回収を求める債権者やサプライヤーが9月下旬、中級人民法院に対し破産処理を申請していた。今回の申請受理により正式な破産処理に入り、破産管理人を中心に9カ月以内に具体的な債権の回収策や処理方法を取りまとめる。
地元メディアによると東北特殊鋼の負債総額は500億元を超え債務超過に陥っていた。
中国企業のデフォルトは急増している。今年1月から8月中旬にかけて企業が約束通りに返済できなかった社債の総額は約250億元と、昨年通年の約2倍に膨らんだ。中国では鉄鋼や石炭、セメントなど幅広い産業で過剰設備問題が深刻化している。中国政府は不採算が続く「ゾンビ企業」の淘汰を訴えており、今後、企業の破綻が増える見通しだ。