ニューヨーク・タイムズ
2016年10月7日17時20分
「うーん。思っていたのとは、だいぶ違う」。蚊の大群が舞う荒れ地で、足首まで泥につかりながらユーリー・A・ブガエフは思わずうなった。
住まいのあるロシアのサンクトペテルブルクから東に4千マイル(約6400キロ)。七つの時間帯を越え、沿海地方のこの地にやってきた。途中、モスクワから9時間かけてウラジオストクに飛んだ。さらに、大雨の中を何時間も車で北上。中国に接するハンカ地区の村カメニ=ルイボロフに着いた。
ロシア政府が、極東に入植する国民には無償で与えるという土地の下見だった。米国で言えば、西部の未開の地を無償で払い下げることを定めた1862年の自営農地法(Homestead Act)にあたる。ここでは2016年6月1日に先行して始まり、ブガエフはすぐに行動に移った。
この無償制度は、ロシアの極東…
残り:3134文字/全文:3473文字
新着ニュース
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞国際報道部