HOME > レビュー > ソニーの最高峰4Kプロジェクター「VPL-VW5000」の恐るべき再現力。この絵は、観ない方が幸せだったかもしれない?
2016年10月11日/潮晴男
かねてより噂のあったソニーの超弩級プロジェクター、VPL-VW5000がいよいよ国内でも発売されることになった。受注生産なので納期も2ヵ月ほど設定されているが、9月24日に受付を開始したところ既に数名からのオーダーがあったという。いやはや世の中には行動力と資金力のある人がいるものですねぇ。
製品の概略はこちらの記事を参考していただくとして、VPL-VW1100ES同様17対9の画角を持つ0.74型のSXRDのパネルを用いて、シネスコサイズの作品にもフル画素で対応する。
本体サイズはVW1100ESを一回り大きくした感じで、大型レンズが家庭用というより業務用機の雰囲気を漂わせる。スクエアな筐体はある意味武骨に映るが、シンプルなデザインがそれをカバーしているといっていいだろう。
そしてこの大型化は、レーザー光源を収容するための必然でもある。HDRに対応した新たなるトライアルを考慮すれば、逆にここまでコンパクトにまとめ上げたことを評価したい。
今回、最終バージョンとなるVW5000を、開発拠点である神奈川県厚木市にあるソニー厚木テクノロジーセンターで視聴させてもらった。実は昨年の同時期にも欧米向けのVW5000を観る機会があった。この時は国内への展開は未定ということだったので、残念な思いでその場を後にしたことを覚えている。
一年前の記憶を手繰りながら、国内用に細部をリファインしたという実機の印象を述べると、色再現力は大幅にアップしている。再現範囲が広がっているので色数が増えたことは言うまでもないが、その厚みと密度感に圧倒される。
「アメイジング・スパイダーマン」のUltra HD Blu-ray(UHD BD)を視聴すると、スパイダーマンの衣装のテクスチャーをしっかり捉えているし、微細な凹凸感もよく描きだす。「シネマフィルム1」モードのデフォルト値ではレーザー光源の出力を決める「レーザーライト設定」の「出力」が『80』ということだが、それでもピークで4000ルーメンをたたき出す。
この状態でも申し分ない映像が楽しめるが、いくぶんおとなしい感じだったので「コントラスト(HDR)」を『85』まで上げていくと、より明晰な表現になり、VW5000の潜在能力の高さを改めて実感した。
「オブリビオン」のUHD BDも観たが、ここで「エキスパート設定」で「カラースペース」を『BT.2020』から『カラースペース2』に換えてみる。『BT.2020』はBT.2020の色域を80%以上カバーしているが、そのためにカラーフィルターが必要で、若干輝度が下がる。
一方の『カラースペース2』はフィルターを介さないモードなので、フォーカス感がアップし、より活き活きとした映像が味わえる。特に『カラースペース2』では、ジャックとジュリアが対面するシーンでのフェイストーンも絶妙なバランスで描き出していた。
光学ユニットは水冷式の密閉型で、防塵と熱への対策が充分になされ、長期の安定性を約束する。さらに短焦点用のレンズユニットも用意することで(別売)、使用環境への配慮がなされている。ファンノイズは昨年視聴したモデルよりかなり低減され、これなら天吊りにしてもまったく気にならないだろうと思わせてくれた。
自宅に戻った後、我が視聴室のVW1100ESで同じ作品を観てみたが、色がなんとなくあっさりとしているし、絵に生気がない感じがした。やっぱり知らなければよかったのか……と後悔しても既に遅し。かつてソニーのVPH-G90やバルコのCine9を初めて観た時の経験に似ている。それほどにショッキングな体験だったのである。
これまで4K UHD BDのプロジェクター視聴では、精細感はあるものの、HDRらしい力強さ、コントラスト表現という点では直視型に一歩遅れている印象もあった。しかしVW5000ではそんなこともなく、まさに一歩進んだ大画面4K映像の実力を教えられた印象だ。
また今回、ソニーの今年の4Kプロジェクター、VPL-VW535も同時に視聴したので、その印象にも触れておく。
「シネマ」モードでは暗部の再現力が向上し、全体に発色がよくなっている点で前作からの進化を確認できた。価格は若干アップしてしまったが、HDR、HDCP2.2に対応するフル4Kの最新仕様。手の届く高画質プロジェクターとしてホームシアターファン注目のモデルである。
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