ライカとファーウェイが共同開発したスマートフォン、HUAWEI P9 を買ったので、カメラ周りについての感想とかを書いてみます!
以下の、ウォーターマークが入っている写真は JPEG 撮って出しで、入っていない写真は RAW で撮って Lightroom で現像しています。

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P9 で撮った写真の色について

ライカのデジタルカメラの特徴は色々とありますが、その一つに「色が独特」というものがあります。 国産のデジタルカメラとは異なる、少し彩度の低い落ち着いた色調は、P9 にも受け継がれています。

そのため、カラフルな物を撮っても、どこかシックな印象になります。

もちろん、落ち着いた印象だけあって、レトロな物を撮っても良い感じです。

他のカメラで撮った写真の彩度を単純に下げても、簡単に同じような色味にする事は難しいので、P9 の写真の色が気に入ったなら、それだけでお勧めできます。

街のちょっとした風景を切り取るだけで、何となく良い感じに撮れると思います。

フィルムモード:ソフトな色

そんな P9 の色ですが、設定から 2 種類のフィルムモードを選ぶ事ができます。
こちらは「ソフトな色」に設定した写真で、ネガフィルムで撮ったような雰囲気に近いように思えます。

「ソフトな色」という名前的に、いわゆるポートラのような色を期待していたのですが、思いのほかこってりでした。

フィルムモードの色はライカが監修している(※1)らしいです。

※1「F0.95の世界」を味わえるライカ共同開発カメラ搭載 HUAWEI P9より

ガーリーなゆるふわフィルム写真ではなくて、ストレートなフィルム写真ぽさを感じます。

フィルムモード:鮮明な色

こちらは「鮮明な色」というフィルムモードです。 リバーサルフィルムっぽい印象でしょうか。

どちらのフィルムモードも、派手には変えない所に、ライカっぽさを感じますね(例えば、よくあるトイカメラ風では無い辺りに)。

近代的な被写体に使ってみても良い感じです。

ファームアップとかで、他の色も追加されたら良いのになあ……なんて思ってしまうのは、カメクラ脳でしょうか?

モノクロモード

P9 は、カラーとモノクロの二つのセンサーを搭載しています。

普段、モノクロ写真はあまり撮らないのですが、スマートフォンの大画面全てがモノクロの世界になると結構面白くて、「今日はモノクロの日」みたいに決めて過ごすのも面白そうです。

ライカには、モノクロ写真しか撮れないデジカメ、LEICA M MONOCHROM があります。 それと同じ構造になっているなら、P9 のモノクロセンサーにはカラーフィルターが物理的に存在しないので、カラーよりもシャープに撮れるはずです。

シャープに撮れているように思えます。 スマホで撮った写真とは思えないかも。

RAW ファイルでの保存

P9 では、デフォルトのカメラアプリで RAW ファイルで保存ができます。 同じ条件で撮った、JPEG 撮って出しと RAW 現像した写真を並べてみます。

ゆるふわ感のある遠景写真。

何かの植物。

スマホ写真を RAW 現像する意味が本当にあるのか、ちょっと判断に迷う所ではあるのですが、いつもと同じワークフローで作業や管理ができるのは、メリットかもしれません。

デプスオブフィールド・コントロール

P9 のリリース当初に「スマホで F0.95 の世界が楽しめる!」等と話題になった、ソフトウェア的に被写界深度を表現する機能が、デプスオブフィールド・コントロールです。 しかし、個人的には使いこなしが難しいと感じました。

この写真では、上の蛇口にピントを合わせて、被写界深度を絞り F0.95 相当としているのですが、蛇口の取っ手がボケてしまっています。 恐らく、取っ手部分は背景として処理されているためと思われます。

こちらも同じく、F0.95 相当の被写界深度です。 うーん、不自然ですね。

これは上手くいった例です。 かなり被写体を選ぶ機能だなーと思いました。

作例:スナップ

ここからは、作例的な写真をいくつか載せてみます。 まずは街のスナップから。

P9 は当然ながら見ためがスマホなので、カメラを持ち歩くよりも目立ちづらく、街に馴染みやすい印象がありました。

レンズの焦点距離は 35mm 換算で 27mm と広角なのも、スナップに使いやすいです。

P9 のシャッター音はライカ M3 の物をサンプリングして使用しているとの事なので、周囲の雰囲気をあまり乱さないのも嬉しい部分です。

作例:ナイトスナップ

「プロフェッショナルモード」にすると、ISO 感度やシャッタースピード、ホワイトバランス等をマニュアルで設定する事ができます。 モノクロモード × プロフェッショナルモードで ISO:3200 SS:1/400 にして、スマートフォンで夜のスナップをしてみました。

ISO をここまで上げるとノイズが乗ってきますが、モノクロなので嫌な感じは受けません。

レンズの焦点距離がほぼ同じ事もあって、気分は GR デジタルでしょうか。

こうなってくると、ピントを固定できないのが少しもどかしいですね。 GR シリーズのフルプレス・スナップのように、ソフトウェア的に 無限遠 / 5m / 3m / 1m みたいに固定ができると嬉しいのですが。

作例:ポートレート

ポートレートも撮ってみました(Model:ミカさん)。 RAW で撮影して、Lightroom / Photoshop で現像・レタッチをしています。

M 型ライカのデジタルと比べてはいけませんが、スマホ写真と考えると、まあ頑張ってるのでは……!

シンプルな背景 + ローファイな加工 とかだと、結構良い感じかもしれません。

スマホの機動性を活かして、普段 M 型ライカだとやらないような、こんな構図が手軽にできるのは良いですね。

まとめとその他の感想など

個人的には満足しています。 特に写真の色をライカが監修しているという部分が、ライカの色が好きな僕にヒットしました。
カラー用のセンサーとは別にモノクロ用のセンサーが搭載されているのは M MONOCHROM を想起させますし、シャッター音が M3 というのも撮っていて楽しいです。 ライカクラスタには安心してお勧めできるスマートフォンだと思います。

なお、本機のモニタはコントラストがひときわ高いと感じているので、「撮った時は良い感じだったのに、自宅の PC で見たらちょっと眠い……」みたいな事がちょくちょくありました。

「こうなるともっと良いな」という部分もいくつかあって、一つは ↑ の方でも書いた、「ピント位置をソフトウェア的に固定」できる機能が欲しいです。
もう一つはアクセサリー的な話で、ストラップホールのある純正ケースがあると、カメラとして使う時に安心だなと思いました。