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 半世紀の内戦終結を目指す南米コロンビア政府と左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)の和平交渉は、サントス大統領へのノーベル平和賞授賞で、最終合意に向けた期待が高まる。同じ国民が52年間、泥沼の戦いを続けてきたのはなぜか。内戦が終結すればコロンビアはどう変わるのか。長い間暴力に支配されてきた国は転換点を迎えている。

 FARCの野営地がある同国南部エルディアマンテ。女性戦闘員のパトリシア・バルガスさん(34)は18歳でゲリラに入った。3人きょうだいの長女。バナナ農家だった両親は貧しく、ヤシの葉で屋根をふいただけの小屋で家族5人が暮らした。小学校には3年しか通えなかった。

 「両親はいくら働いても生活は苦しいまま。ゲリラになって社会を変えたいと思った」と振り返る。「後悔したことはない。不公正な社会を是正する正しい戦いだったから」

 同国では植民地時代の大土地所有制の影響が色濃く、富裕層が広大な土地を所有する。農民は苦しい生活を余儀なくされてきたが、エリート層の利益を代表した政治は長年、地方の問題を放置してきた。

 社会主義に基づく国家建設を目指した地方農民らがFARCを結成したのは1964年。農民に土地の分配を約束して支持を拡大し、一時は国土の3分の1を支配した。つい最近までゲリラ側の勝利を真剣に信じる農民も多かった。

 FARC幹部のパブロ・カタトゥンボ氏は「一部の富裕層を利する国の構造を変えられなかったから、内戦が長期化した」とゲリラ戦を正当化する。

 戦いは右派民兵組織の参戦でさらに泥沼化した。右派民兵組織はもともと富裕層らの支援でゲリラ掃討を目的に作られた武装集団で、ゲリラと内通しているとの疑いで農民を虐殺したり、土地や家畜を奪ったりするケースが相次いだ。

 FARCの女性戦闘員ジーナ・ウリアスさん(31)は「村人が右派民兵に次々と殺された。身を守るためには自分が戦うしかなかった」と話す。ゲリラになったのは12歳の時だ。

 暴力が新たなゲリラを生む負の…

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