テレビ討論会開始…性的発言にトランプ氏弁明
【セントルイス(米中西部ミズーリ州)田中義郎】11月の米大統領選に向けた民主党のヒラリー・クリントン候補(68)、共和党のドナルド・トランプ候補(70)による2回目のテレビ討論会が9日午後(日本時間10日午前)、セントルイスの大学で始まった。
2005年に録音されていた性的な発言が暴露された問題について、トランプ氏は「家族や国民には謝罪したし、恥ずかしいと思っている。(しかし)私ほど女性に尊敬の念を払っている者はいない。発言は(男性が品のない会話もする)『ロッカールームの会話』に過ぎない」と弁明。「女性が合意していないのにキスしたり、体を触ったりしたことはない」とも主張した。
一方で、発言中のトランプ氏は話題を過激派組織「イスラム国」(IS)に移して、「ISをたたきのめす」と言明。更にクリントン候補の夫のビル・クリントン元大統領が在任中に女性実習生と関係を持った問題を取り上げて、「彼の行動こそが米国の政治で例を見ない女性蔑視だった」と論じた。
クリントン候補はトランプ氏の性的な発言について「彼の女性に対する見方や行動を如実に表している。これまでの共和党の大統領候補の政策には同意できなくても、資質を疑うことはなかった」としたうえで、トランプ氏の資質に疑問を呈した。更に「トランプ氏は女性だけではなく、移民や黒人、中南米系や障害者を傷つけてきた」と批判。夫のクリントン元大統領を非難したトランプ氏の発言には反論しなかった。
1995年に事業で損益を出して長年に渡り税金を収めていなかったという報道について、トランプ氏は「私は何億ドルの税金を払ってきた」と弁明。一方、クリントン氏も選挙選で環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に反対しながら、富裕層向けの講演で賛成する考えを示していたとの報道について、「リンカーン大統領も公と私的な発言を使い分けていた」と自己弁護した。
トランプ氏の問題発言を受けて、共和党内では2008年の大統領候補だったマケイン上院議員がトランプ氏に票を投じないと表明するなど、異例の事態となっている。しかしトランプ陣営は過去にクリントン元大統領との関係を持ったと告白した女性たちをこの日の討論会に招くなど、元大統領の人格問題を取り上げて乗り切ろうとする構えのようだ。
トランプ、クリントン両候補は会場に登場した際も握手をせずに、外交問題などでも互いに非難し合う場面が目立った。最後となる次回討論会は今月19日に予定している。