東京大学法学部を首席で卒業し、財務省を経て弁護士になった山口真由さん。2015年にハーバード大学のロースクールに留学、オールAで修了した。頭脳明晰(めいせき)でクールな女性と思いきや、本人は「挫折や失敗ばかり。コンプレックスの塊です」と笑いながら答える。山口さんはどのように学び、輝かしいキャリアを築いたのか。
「私は別に天才じゃないので、試験前にはいつも必死で勉強します。司法試験を受ける直前も1日に19時間30分勉強しました」。山口さんは屈託のない表情でこう語り、自分が「ガリ勉」であることを隠そうとしない。
当時、睡眠はわずか3時間、3回の食事は20分ずつ、入浴に20分、唯一の楽しみは札幌市に暮らす母親との電話でのおしゃべりの10分間のみ。後はすべて法律の勉強に費やした。結果、東大3年生の時に司法試験に合格した。
なぜこれほどのエネルギーを勉強に費やせるのか。山口さんは「コンプレックスの裏返し」と語る。小学校6年生の時に顔にニキビが多く、男子生徒からよくからかわれた。運動も得意ではない。跳び箱は4段を跳ぼうとしたときに手を骨折。ただ、勉強はやるだけ成果が上がったという。「学問は裏切らない、努力した分は伸びる」と悟った。
北海道で医師の両親の元で育ったが、高校は東京都内の難関校、筑波大学付属高校に挑んだ。母親は東京への進学に反対したが、「反抗期の真っ最中だった。自分は東京でもやれる」と突っぱねたという。
無事入学を果たしたものの、高校時代はつらかった。風邪をひいても誰も気づいてもくれない。コンプレックスにもさいなまれた。中学まで常に学年トップだったが、毎年多くの東大合格者を輩出する筑波大付属高校は秀才ぞろい。時に白い目で見られ、忘れ物をしたときには、ある男子生徒から「田舎者だからね」という意味のことを言われた。
悔しくて夢中になって勉強した。東大に合格したが、母親から「私学でいいんじゃない」と諭された。「私はそんなモノじゃない」とまた反発、東大法学部の4年間はオール優。3年生で司法試験、4年で国家公務員1種試験を突破した。
山口さんは「コンプレックスを持つことも悪いことじゃない。ネガティブパワーが一番強いから」という。
コンプレックスをバネに勉強やスポーツにがんばる人は少なくない。しかし、山口さんの真骨頂は緩急のつけかたが巧みで、「勝利の方程式」を身につけていることだ。決して365日ガリ勉だったわけではない。暇なときには「1日中ボーッと過ごしたり、ゲームやファンタジー小説などに興じている」という。集中的に勉強するのはあくまでも一定の期間だ。
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