〇〇街道:アニメ編
あの作品のあの場面を体感しよう!
〇〇街道:学術編
賢くなれるかも!
〇〇街道:民俗学編
ブリのごとく出世できるってよ!
*
正解が全部「国道41号線」じゃねえか!
はい。この記事は国道41号線を知っていただくためのものです。
国道41号線についてお話させていただきます
経路
国道41号線は、愛知県名古屋市を起点として、岐阜県の飛騨高山を抜けて、富山県富山市へと至る、全長252.1㎞の一般国道である。
名古屋をたち~の、
小牧を抜け~の、
美濃加茂を通って~の、
下呂に浸かって~の、
高山でまったりして~の、
飛騨で食べて~の、
富山に到着~。
郊外の国道は、どこでも似たような風景がつづくものだが、ここも例にもれず。
観光は、道路からそれてからが本番ですので。
グーグル計算によると、渋滞なしだと4時間半の運転。
東海地方と北陸地方を結ぶルートだが、ご覧のとおり、本州の中央を、縦にばっさり割るようなラインを描く。
関ケ原はもうすこし西にあるのものの、このあたりが、関西と関東の、文化圏の境といっても過言ではない。
(そのむかし、そういったテレビ番組の制作に携わったことがある)
*
名古屋と富山を行き来する場合、現在では、東海北陸自動車道という高速があるので、移動のみを目的とするなら、国道41号の役割は落ち着きつつある。
が、「道とは、寄り道にこそに意味がある」と、言ったのは誰だったろう。
あ、私です、すません。
ということで、にわかに騒がしくなりつつある(私が騒いでいるだけ)、国道41号線の、おもに真ん中から北、「高山から富山」の区間について、三つの異名の絡みで解説させていただく。
異名その1:ぶり街道
富山湾は、暖流と寒流がまじわる位置にあるため、獲れる海産物は、日本一種類が多いといわれている。
なかでも、シロエビ、ホタルイカあたりが名産であるが、一番は、ブリ。
水揚げ漁港の名をとって「氷見鰤(ひみぶり)」とブランド化して呼んだりする。
ブリは、成長の過程で名前が変わる「出世魚」だ。
地域によってことなるが、大別して以下ように出世(改名)していく。
地域別、ぶりの出世過程(Wiki参考)
- 関東:ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
- 関西:ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ
- 東北:ツベ→イナダ→アオ→ブリ
- 下北:フクラギ→イナダ→ワラサ→ブリ
- 北陸:ツバエリ→コズクラ→フクラギ→アオブリ→ハナジロ→ブリ
- 北陸(富山):ツバイソ→コズクラ→フクラギ→ガンド→ブリ
- 山陰:ショウジゴ→ワカナ→メジロ→ハマチ→ブリ
- 四国、山口、広島:ヤズ→ハマチ→ブリ
- 九州:ワカナゴ→ヤズ→ハマチ→メジロ→ブリ→オオウオ
その出世っぷりに、あやかりたい。
そんな縁起物としての意味も含めてブリは珍重され、現在の41号線(旧飛騨街道)を通って、飛騨、そして信州方面にも運ばれた。
ブリを中心に栄えたこの交易ルートが、江戸時代には、「ぶり街道」と呼ばれるようになったのである。
道路事情の悪い当時は、値段もどんどん出世していき、終着点では、浜値の4倍にもなった。
う~ん、あやかりたい。
みなさんもぶり街道を訪れれば、仕事の評価は4段階アップ、おこずかいも4倍になる、かも……!
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訪れたあなたに、ぶりしゃぶを食べていただきたい。
異名その2:ノーベル街道(出世街道)
国道41号線と、旧飛騨街道が重なる、「高山から富山」までの区間は90㎞ほど。ほとんどは、山。もしくは、里。人口密度のかなり低い地域である。
しかし、その沿線にゆかりの深い人物に、ノーベル賞を受賞した方がいらっしゃった。
五人も。
41号線に縁あるノーベル賞受賞者
- 利根川進:1987年、医学生理学賞。富山市(旧大沢野町地域)で育つ。
- 白川英樹:2000年、化学賞。高山市で育つ。
- 田中耕一:2002年、化学賞。富山市で生まれる。
- 小柴昌俊:2002年、物理学賞。飛騨市に研究施設がある。
- 梶田隆章:2015年、物理学賞。富山市(旧大沢野町地域)に自宅、飛騨市に研究施設。
田舎としては、これはえらいこちゃあ! である。
この区間って、昔は「ぶり街道」って呼ばれてたよね? ぶりは出世魚だよね? この5人も、出世魚のように功績をあげていったんだよね?
この地が5人を導いたのかも!
こうしてこのラインは、「ノーベル街道」「出世街道」と呼ばれるようになった。
(正確には、4人の段階で名付けられた。ゆえに5人目が誕生した際には、地域はかなりの盛り上がりを見せた)
みなさんも訪れれば、学業やビジネスの成績が上がり、表彰される、かも……!
……あれっ、逆走したら下がるってことか?(怖)
いや、ぶり街道は「富山→高山」と向かい、41号線も「富山→高山」が上り線なのだが、ノーベル街道に関しては、どちらが上りで、どちらが下り、といった位置づけは、存在しない。
安心してお越しくださいませ。
・ノーベル街道、周辺紹介サイト:ノーベル街道ガイド/ノーベル街道マップ
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がんばったあなたに、メダルをつくってあげたい。
異名その3:アニメ街道
アニメの舞台が、実在の地域をモデルにすることが多くなり、モデルとなった地域がファンに「聖地」と呼ばれ、メッカのごとく「聖地巡礼」なんて言葉で観光に効果がもたらされる。
そういった現象で知られる地域は、もはや全国に多々あるような気はする。
「聖地」という言葉が乱用されている。そんな気持ちで、この記事を苦い思いで読んでいる方もいらっしゃるだろう。
聖地がいくつか並ぶから、国道41号線はアニメ街道?
なめんな、どのレベルのアニメだってんだ。
そうお怒りの方に、お伝えさせていただきます。
*
P.A.WORKSの『クロムクロ』とか~、
京都アニメーションの『氷菓』とか~、
あと、新海誠監督の『君の名は。』とか?
はは~っ。
(ひれふした。私が)
国道41号線域が舞台となっているアニメ
- 『クロムクロ』:富山県富山市
- 『氷菓』:岐阜県高山市
- 『君の名は。』:岐阜県飛騨市
国道41号線の西側には、「国道156号線」が並走していて、その岐阜・富山区間も、いくつかの作品の舞台となっている。
国道156号線域が舞台となっているアニメ
- 『ひぐらしのなく頃に』:岐阜県白川村
- 『true tears』:富山県南砺市
- 『Another』:富山県砺波市
- 『ゆるゆり』:富山県高岡市
よって岐阜と富山を結ぶ二本の「アニメ街道」は、国道41号線を「東ルート」、国道156号線を「西ルート」と識別することができる。
舞台(聖地)が集まる理由
これらの集まり具合が、純粋に「多い」といえるのかについては、私は不勉強で確認できていない。アニメ作品は増える一方で、聖地らしきものはどんどん増えていく。
数のうえでなら、よその地域にも、これくらいの密度のルートはあるかもしれない。
ただ、当地に関しては、比較的知名度のある、クオリティにも評価のある作品が多い、とはいえるのではないか。
*
集まる理由については、
- そもそも原作の舞台が当地である。
- アクセス事情が向上し、スタッフがロケハンに訪れやすい。
- 山と海を直結するルートであるため、短い距離で多彩な風景が描ける。
- 制作会社が当地にある。(P.A.WORKS本社は富山)
といったことが察せられる。ただ、私がもっとも強く感じるのは、ごくシンプルな要素である。
- ちょうどいい具合の田舎である。
これだ。
日本列島の真ん中に位置するだけあって、日本人が田舎をイメージするときに浮かぶ映像の、最大公約数的な要素が、当地にはあるのだと思う。
行ったことがなくても、だれもが懐かしさを感じてしまうような風景。日本の原風景、とでもいうべきか。
よって、いまや聖地となることは観光に直結するので、舞台を誘致するための活動が全国各地で展開されているようだが、当地には、ちょっとしたアドバンテージがあるのだと考える。
*
どうでもいい情報だが、私は、アニメ街道西ルート周辺の育ちである。
幼い頃からよく知っている風景が、フィクションの世界にでてくるというのは、こんな感覚だったのか。嬉しさ、もどかしさ、微妙な居心地の悪さ。
いろいろがないまぜになる感覚を、楽しんでいる。
みなさんもぜひ、国道41号線と156号線をぐるっと回って、お気に入りの場面を追体験してみてはいかがでしょう。
隕石が落ちてきそうな時は、どうか我々住民を救ってやってくださいませ。
『君の名は。』:飛騨市の観光マップ
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いや、それはいままでどおりか。
まとめ
江戸の昔は、ぶりという縁起物を運ぶルートとして重視された旧飛騨街道。
国道41号線と名付けられたのちの世では、学術の世界において偉大な功績を残すことになる少年たちを育んだ。
そしていまや、アニメという架空の世界からすら重宝される。
そんな国道41号線こそが、時流という海の中で、ブリのごとくたくましく「出世」してきたと言えるのかもしれない。
ああ、あやかりたい。
よし、41号線のこの区間を象徴するキャラクターを、即興で私がかってに作ってしまおう。
「ブリ」で「ノーベル賞」受賞者で、「アニメ」にいてもよさそうな。
できた!
ドンッ!
ピチピチッ!
名前は、うーん……、
アニメ+ブリ+ノーベル+41号線=アニブリーベル41世!
(どなたか、なにかに使っていただけないでしょうか……)
「みなさん、はじめまして、アニブリーベル41世です。ピチピチッ! 『民俗学的興味』でも、『学業成就祈願』でも、『聖地巡礼』でもいいので、みなさんもぜひ一度、国道41号線ぞいの町に、おいでや~♪ ピチピチッ!」
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