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【社会】

ノーベル賞大隅さん、治療への応用に期待 感染症を防御・がん増殖防ぐ

ーベル医学生理学賞受賞が決まり、本紙のインタビューに答える大隅良典・東京工業大栄誉教授=東京都目黒区で(伊藤遼撮影)

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 ノーベル医学生理学賞に決まった大隅良典さんが解明したオートファジー(細胞の自食作用)を、病気の治療に応用する試みが世界中で始まっている。がんやアルツハイマー病は治るのか。4日、大隅さんに応用の可能性を聞いた。  

 大隅さんは、最も有望なのは感染症だとみる。「オートファジーには生体防御の役割もある。細胞に入ってきた細菌を捕らえて分解する」。連鎖球菌や黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌などは、オートファジーの仕組みで異物と認識され、処理される。オートファジーを促進することが、感染症対策につながりそうだ。

 がんについてはどうか。「がん細胞は、栄養を補給し増殖するためにオートファジーを必要とする。基本的には、オートファジーを抑制すれば、増殖を抑えられると考えられている」とする。ここではオートファジーは悪玉だ。「ただし、膵臓(すいぞう)がん、肝臓がんなど、種類によっても違うだろう」とみる。

 異常なタンパク質が増えることで発症するアルツハイマー病やパーキンソン病など神経の病気について、大隅さんは厳しい見方だ。「オートファジー以外にもタンパク質分解の仕組みがありオートファジーが制御できればアルツハイマーが治るという考えは、たぶん間違っている。ただ50歳で発症するはずが、80歳まで延びることはありうる。健康寿命が長くなることは大いに意味がある」と話した。

 

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