関西で設置目指す…NPO法人が設立総会
親が育てられない子どもを匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」の関西での設置を目指し、24日、NPO法人「こうのとりのゆりかごIN関西」(理事長=人見滋樹・京都大名誉教授)の設立総会が開かれた。大阪、京都、兵庫3府県の各1病院で2年以内の設置を目標に検討を始める。ゆりかごは2007年に熊本市の慈恵病院が日本で初設置し、関西が2例目となる。
総会は大阪市内で開かれ、医療・教育関係者、地方議員ら計約20人が出席。顧問には慈恵病院の蓮田太二理事長らが就任した。自治体や助産院と連携して準備を進め、妊娠や出産に関する相談体制も整備する。
慈恵病院では、15年度末までに計125人を受け入れた。熊本県外からが大半を占め、近畿からも計10人が預けられ、昨年度は海外からも確認された。多くの命を救う一方、匿名の受け入れを認めていることから「子どもから出自を知る権利を奪う」「安易な預け入れを助長させる」などの指摘もある。
総会後の記者会見で人見理事長は、預ける前の相談の重要性を強調し「安心して相談に来てもらい、支援していきたい」と述べた。蓮田顧問は「関西に開設されれば、全国に取り組みが広がると期待している」と話した。
今後、大阪府にNPO法人の認可を申請し、来年2月に認められる見通し。【井川加菜美、福田隆】
こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)
親が育てられない子どもを匿名で受け入れる設備。ドイツでの取り組みにならい、熊本市の慈恵病院が2007年5月に日本で初めて設置した。病院の一角にある扉を開けて、保温器付きベッドに赤ちゃんを入れる仕組みで、開設から15年度末までに計125人を受け入れた。ゆりかごの運用開始とともに始めた24時間体制の相談窓口には全国から年間5000件を超える相談が寄せられ、妊娠や出産に悩む人たちの受け皿となっている。