駆け付け警護、首都周辺に限定
自衛隊の安全重視
政府は、安全保障関連法に基づく新たな任務として、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に11月から参加する陸上自衛隊の交代部隊に付与する方針の「駆け付け警護」について、地理的範囲を首都ジュバ周辺に制限する方針を固めた。現在の陸自施設部隊の活動範囲は、自衛隊行動命令によりジュバを含む中央エクアトリア州と東エクアトリア州、西エクアトリア州と規定しているが、駆け付け警護は安全確保を重視し、中央エクアトリア州に限定する見通しだ。
国連南スーダン派遣団(UNMISS)への施設部隊派遣は2012年に開始。13年に新たな自衛隊行動命令を出し、ジュバだけでなく周辺3州でも活動可能とした。だが、同年12月以降の治安悪化を受け、これまでジュバ以外で活動したことはない。政府は、活動経験のない地域での実施は困難と判断。任務を付与しても、部隊の装備や規模の増強は検討しておらず、政府関係者は「施設部隊の展開能力が増強されるわけではない。ジュバ周辺に限定されるだろう」と話した。
ただ、画一的に地理的範囲を規定することに異論もある。遠隔地にいる邦人から救援要請があった場合、UNMISS司令部との調整が必要となる。自衛隊の能力を超える状況で断ることができるかは不透明だ。
安保関連法は自衛隊の武器使用基準を緩和。ただ、自衛隊が戦闘に巻き込まれ、憲法が禁じる「武力行使」に抵触する恐れがあるとして反対も根強い。政府は不安払拭(ふっしょく)のためにも、駆け付け警護の実施を限定的に想定する。【村尾哲】