安保理、また無機能露呈
【ニューヨーク國枝すみれ、モスクワ杉尾直哉】国連安全保障理事会は8日午後(日本時間9日未明)、人道危機が深刻化するシリア北部アレッポでの停戦と空爆停止を柱とする決議案を採決する。事実上、アサド政権とロシアに空爆停止を求める内容で、常任理事国のロシアの拒否権発動により、廃案となる可能性が高い。
内戦下のシリア情勢への対応を巡り、安保理はこれまでも、有効な手立てが打てないとして国際社会の批判を受けてきた。米露主導の停戦合意の枠組みが今月3日に破綻したことを受け、両国の対立が持ち込まれることになる安保理は改めて、無機能ぶりを露呈することになりそうだ。
フランスとスペインが主導した決議案は、停戦実施を確実にするため、アレッポ上空での飛行禁止区域設定も要求。リャプコフ露外務次官は7日、「(ロシアに対する)政治的な脅迫であり容認できない」と猛烈に反発した。インタファクス通信が伝えた。
一方、エロー仏外相は7日のケリー米国務長官とのワシントンでの会談で「8日(の決議案採決)は、全ての安保理メンバーにとって正念場。アレッポで停戦を望むのか望まないのかだ。その問いはまずロシアに向けられている」と述べた。