【巨人】足りなかった“もう一押し”…由伸監督、逆王手へ攻撃に動き加える
◆アットホーム クライマックスシリーズ セ 第1S第1戦 巨人3―5DeNA(8日・東京ドーム)
クライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)が開幕し、セ・リーグは巨人がDeNAに逆転負けした。
1番・坂本、3番・村田の新オーダーで挑み、初回、5回と坂本が出塁して長野、阿部の適時打でリード。だが、6回にマイコラスが相手4番の筒香に逆転2ランを浴びた。9回には沢村がロペスに被弾。その裏、坂本が一発を放つも、シーズン同様、同じ打者に痛打を浴びて崖っ縁に立たされた。9日の2戦目で巨人が敗れればDeNAの最終S進出が決まる。
何を質問されても「シーズンと違うので、あれこれ言ってもしょうがない」と前を向いた。由伸監督は誰も責めず、この言葉を繰り返した。ただ最後に「こちらの責任じゃないかな。他に打つ手があったかもしれない」と采配の責任を負うように会見を締めくくった。
シーズンと同じやられ方だった。1点リードの3回に梶谷に同点弾を食らった。1点リードの6回には筒香に逆転2ランを浴びた。村田善バッテリーコーチが「どういう形が抑える確率が高いかはつかんでいる」と言うように、レギュラーシーズンのデータを収集し、綿密に対策を練り、マイコラスは内角を徹底的に攻めた。が、2発とも失投だった。9回には沢村もロペスに被弾。9月23日からの2連戦で3人に計8発も打たれた反省は生かされなかった。「シーズン中と同じことになってしまった。打たれたんだから力負けした以外に他ないよ」とは指揮官の言葉だ。
打つ手は打った。「勢いは大事になる。調子のいいものを使う」と話していた通り、大幅に打順を入れ替えた。首位打者と最高出塁率の2冠の坂本を今季初めて1番に据えた。「とにかく坂本が出て、得点のチャンスをというふうには思った」と狙いを明かし、3番には村田。DeNA戦の打率が3割1分9厘、カード別最多10発の好相性で、先手必勝を目指した。坂本は1本塁打を含む3安打。適時打の5番・長野までで計8安打と機能はしたが、シーズン同様に点を奪った後の“もう一押し”がなかった。
次戦も、打順は基本的に変わらないだろう。ただ、指揮官が「他に打つ手があったかもしれない」と語ったように、攻撃により動きを加えて挑むつもりだ。送りバントだけでなくエンドランやスクイズなど、取れる点は確実に取らなくてはいけない。この試合、1点を追う8回無死二塁で長野に送りバントのサインを出したが、追い込まれ、空振り三振を喫した。とにかく三塁に走者を進めようというベンチの意思を、全員がより強く持つ必要がある。
由伸監督は必ず、その日の試合を自分なりに振り返り「あの時、こうした方が良かったかもしれない」などと反省し、次に生かしてきた。新打線に兆しが見えただけに、あとは指揮官の采配一つで流れは変わってくるはずだ。
これでレギュラーシーズンからDeNAに7連敗。もう、負けられない―。そんな問いに“将”は「気持ちは変わらない。明日勝てるように頑張るだけ」と強調した。ビハインドの展開でも7回・山口、8回・マシソンの方程式を投入。9回を沢村に託し2失点したのは誤算だが、今年の抑えは沢村しかいない。今まで通りにナインを信頼し、勝たせる―。今、指揮官が思うことは、それだけだ。(水井 基博)