阿蘇山、36年ぶり爆発的噴火!…阿蘇火山博物館の池辺館長に聞く
8日午前1時46分ごろ、熊本県の阿蘇山・中岳第1火口で36年ぶりに爆発的噴火が発生した。気象庁は噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げ、火口から2キロの範囲で大きな噴石に警戒するよう呼び掛けた。4月に発生した熊本地震の傷痕が残る中での噴火に、地元の不安は高まっている。地震との関連などについて、阿蘇火山博物館の池辺伸一郎館長に聞いた。
深夜、突如鳴り響いた轟音(ごうおん)は嫌でも半年前の震度7を観測した地震を思い出させた。山頂から約8キロ離れた阿蘇市役所の男性職員は「『ドーン』という音とともに、地鳴りがした。山頂付近の雲が赤く光り、稲妻が走った」。市役所周辺では、灰が深いところでは1センチ程度積もり、一面灰色になった。
阿蘇山の麓にある宿泊施設「かんぽの宿阿蘇」の総支配人・柏田弘利さん(59)は「噴石が飛び、ひょうが降るような大きな音が10分ほど続いた」と不安な様子。4月の地震後に落ち込んだ客足が8割ほど戻って来ただけに「危険なイメージが付き、半年は客入りが厳しくなるのでは」と嘆いた。
地元では「噴火は熊本地震の影響もあるのか。気味が悪い」との声が上がるが、池辺氏は「地震が遠因になっている可能性はあるが、直接的には関係ない」とみている。
気象庁は今回、「36年ぶりの爆発的噴火」と発表。爆発的噴火とは火口直下のマグマの通り道で爆発が起きることで生じる噴火で、一定以上の空気の振動が観測された場合に定義する。池辺氏は「状況としては、昨年9月14日の噴火などと同じもの」とし、規模としては久々だが、度々起きている噴火と同様のメカニズムだと指摘した。
今後、各地の火山や地震の発生に影響を与えるかについては「正直に言って、全く分からない」と池辺氏は話しているが「今回の噴火は阿蘇山の活動とみており、(地震発生に影響を及ぼす)プレートには関係していません」。今後は、噴火前に起こるとされる山体膨張や火山性微動の振幅の増大に注目していくという。
10月に入って火山性地震が多発しており、阿蘇山では7日夜にも小規模な噴火があった。気象庁の斎藤誠火山課長は記者会見し「阿蘇山は不安定な状態で、今後も同規模の噴火が起こり得る。風下側では火山灰だけでなく、小さな噴石や火山ガスなどにも注意してほしい」と呼び掛けた。兵庫・淡路島の一部まで10県120以上の市町村に降灰予報が出されたほか、火口周辺では火山性微動の振幅が大きく、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が非常に多いという。