被害件数はクマの3倍。年間数十人の命を奪う、スズメバチ
被害件数のほとんどが、「夏から秋」に集中しています
どうしてスズメバチによる被害が、秋になると増えるのでしょうか?
それにはスズメバチの生態サイクルが、大きく関係していました
スズメバチの一生
~初めは女王蜂一匹から始まります~
①冬が来る前に、交尾を済ませている女王蜂
②朽木などに穴を作って、一匹のまま春まで越冬
③春がくると女王蜂一匹だけで、小さな巣を作る
④巣ができると働き蜂(すべてメス)の卵を産む
※その間女王蜂は一匹で巣の維持から、食料の調達までこなす
⑤6月ごろに卵が羽化
⑦働き蜂が大きくなると、女王蜂は産卵に専念する
⑧働き蜂が増えるのにつれ、巣も急速に拡大していく
※9月くらいがピークを迎える
⑨次世代を残すため、初めて「オス」と「女王蜂」の卵を産卵
⑩先に羽化したオスが繁殖のため、巣穴の外で女王蜂を待つ
⑪後から羽化した女王蜂と、巣の外で交尾する
⑫役目を終わったオス、巣穴に残ったメスは、
※新女王蜂にすべてを託して、すべて死んでしまいます(10月下旬くらい)
巣が最も大きくなる9月から、
新女王蜂へのバトンタッチが終える10月下旬まで、
本能的に攻撃化するのは、この生態サイクルが大きく関わっているのです
知っておきたい、スズメバチの習性
スズメバチの活動範囲は?
オオスズメバチなら、巣を中心に、半径2キロ
キイロスズメバチは、半径5キロに及ぶといわれています
「これ以上巣に近づくな」という警戒範囲がありますが、
一般的に数メートルから10メートルくらいが目安です
●スズメバチが周囲を孤を描くように飛んでいる
●顎をカチカチ鳴らしている
●周りにスズメバチが集まってきた
これらは、警戒範囲に入ったことを意味します
近くに巣がある可能性が高いので、そっと離れましょう
ハチは左右の動きに強く、上下の動きには弱いので、
頭を低くして、ゆっくりと離れることが大切です
一説では、スズメバチが3匹以上集まると、
無条件で「攻撃モード」に入ると言われています
スズメバチに攻撃されやすい条件
黒っぽい色は避ける
ハチは視力が悪く、白黒の世界で生きています
明るい色か、黒い色かで判別しているといっても過言ではありません
黒っぽいダーク系の服は、攻撃されやすいとされています
その理由は、ハチの天敵である熊の色だから
動物の急所(目や鼻)が黒いからだと所説あります
スズメバチが、活発に行動する気温と時間は?
気温が18℃を下回ると、行動が鈍くなります
活動時間は、空が明るくなる前の早朝から、
暗くなり始める夕方までが活発です
特に、早朝と夕方は最も活発に行動する時間帯になり、
逆に、日差しが最も強くなる正午ごろは、活動が落ち着くといわれています
臭いを出さない工夫
スズメバチは香りに敏感です
整髪料や、香水、化粧品にはハチを興奮させる効果があります
人の汗の匂い、飲みかけのジュース類にも注意が必要です
もしも、スズメバチに刺されたら
①可能であれば傷口から毒を素早く絞り出す
口で直接吸ってはいけません
ポイズンリムーバーがなければ、指で絞り出す
②毒は水溶性なので、水で患部を洗い流す
④すぐに病院で受診する
もしもスズメバチに刺されたのが、2回目なら
30分以内に「呼吸困難、じんましん、めまい」などの症状が現れたのなら、
アナフィラキシーショックの可能性があります
一刻も早い処置が必要です
●過去にハチに刺されたことがある
●アレルギー体質である
●心臓に持病があるなどの特異体質である
以上の方は1~2割の確率で、
アナフィラキシーショックを起こす可能性があります
さらに数パーセントの方は急激な血圧低下や、
意識障害をおこし、生死にかかわるショック状態におちいります
すでに蜂に刺されたことがある人は、蜂毒アレルギーを持っている可能性があるので、必ず以下の対処法を行うようにして下さい。また、アナフィラキシーショックは発症から30分以内に処置をできるかどうかが救命の分岐点になると言われています。そのため、いかに早く処置をできるかが重要です。
1:エビペンを注射する
「エピペン(アドレナリン自己注射薬)」を持参している場合は、自分で太ももの前外側に注射をして下さい。2:救急車を呼ぶ
医療機関に連絡して下さい。もし自分一人で連絡ができない場合は、助けを呼びましょう(山間部で一人の場合は、可能であれば人里まで行って助けを求めて下さい。)3:安静にする
医療機関に連絡ができれば、救急車等が到着するまで、ショック体位(足側を15cm~30cmほど高くする姿勢)で安静にしていて下さい。
※嘔吐してもいいように顔は横に向けるようにしましょう。