挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
戦乱の帝国と、我が謀略~史上最強の国が出来るまで~ 作者:温泉文庫
122/146

ランドの変事

「全部同意見です。ただ幾つか追加で聞いてください。まずバルカさん、余計なお世話だとは思うのですけど、急に制度を変えないように気を付けては如何でしょうか。カルマさん達の統治は大変良い物だったとおもうんです。それを急激に変えると上手く行くのは難しいですし目立ちます……あ、やっぱり余計でした?」

 なんか、全員がこっちをポケッと見てる。

「ううむ……まさかこの男から褒めらるとは。思わず喜んでしまったぞ……」

「貴方……人を真面目に褒められたのね」

「うむうむ。必ずしも良い関係で無かろうとも、褒めるべきは褒める。ダン、まるで賢君のようであったぞ。最後に『目立ちます』が来てしまうのは違うが……ダンでは仕方が無かろうな」

「そなたが突然褒めるとどうにも詐欺臭く聞こえるっスよ。……ぬぐぅ……何時の間に小職は、こんな下卑た発想をしてしまうようになってしまったのでしょうか……ダンから影響を受けているようで嫌っスね……」

 この言われよう、私が後二十年若かったら切れてたぜ……。
 しかしリディア相手にこんな言葉はやっぱり余計だったか?
 しゃーないじゃん。
 私は昔働き出した頃、思いついた改善点があったら直ぐ試そう。なんてする極まったアホだった時期があったからさ……。

「我が君」

 うっ!

「はい……ご不快でしたか?」

「いえ、幾らか気が急いていたかもしれませぬ。ご助言感謝致します」

 重々しくゆっくりと頭を下げるリディアを見ていると、えも言えぬ不安感が胃からせり上がってくるのを感じる……。

「よ、余計なお世話だとお思いでしょうが、あの、悪気や軽く見たつもりじゃなくてですね? 昔、そういう失敗を……すみません、何でもありません」

「おや、感謝致しましたのに主君より弁明されるとは奇怪至極。カルマ殿達が余りに失礼な所為でしょうか」

 いや、それは全く関係ない。

「……そうであるな。すまぬダン。で、他には何かあるのか?」

 おう、こういう時大人のカルマさんマジ頼りになる。
 有り難いパスをもらったしさっさと話を流そう。

「次にこのレスターでの厠事情を改善してください。私は臭いのが嫌いです。街のあちこちに汚物が無いように考えて頂きたい。
 厠をきちんと整備し、中身を街の外、決まった所に埋めたり等もです。この際には井戸や川といった街で使う水の近くに埋めないでください。水に匂いが付いてしまう気がしますから。ああ、軍でも汚物を一定の場所にして、きちんと埋めるように指導をお願いします」

 もー、まじウンコ臭いの勘弁。
 人が多く一緒に住む以上仕方ないんだけど、家畜のウンコとかなりの人がきちんと糞尿を処理しないので街の至る所で匂う。
 水を飲む時には沸騰させてからと気を使ってるが、薪でやらないといけないからクッソ面倒なのだ。
 しかしO-157とかにダイレクトアタックされたら私のLPが4000減っちゃうし……。
 本当頼みますわ。
 この街は北方で年中腐りにくいし、カルマがかなり頑張ってるからマジ助かったけどそれでも辛いのだよ。

「貴方ねぇ……潔癖症にも程があるわよ? この街はあたし達が大変な努力をしてきたから他の街よりずっといいでしょうが。その上貴方の言うようにしていたら、幾ら費用がかかるか分かったものじゃないわ」

「まぁまぁ、グレースさんちょっとこちらに来て下さい」

「何よ……余り馴れ馴れしくしないでちょうだい」

 と言いつつも、あっさりこっちに来てくれる当たりも真面目だね。
 しかし私が耳打ちしようとしたら、思わずって感じで顔を引いたのは酷いね。

「よ~くお考えください。ウンコ臭い街よりも、ウンコが見えも匂いもしない街の方がカルマさんに相応しいと思いませんか? この街の印象はそのままカルマさんの印象です。ウンコ臭くては相応しくない。そうでしょう?」

「……確かに。姉さんの印象を良くするためにもこの街を綺麗にはしたいわ……。でも、費用が……後、耳元で汚い言葉を連呼しないで欲しいのだけど?」

「おっと失礼を。さてグレースさん。貴方方に命令する人間は誰ですか? 私でしょう? グレースさんは命令されたから仕方なく、この街の厠事情を私の言う通り綺麗にするのです。そうしたら、何時の間にかカルマさんの印象も、名声も上がっていた。そういう事です」

 私はここまで耳打ちした後、顔を離してグレースの様子をうかがう。

 ……うむ。
 Fish 完了。

「……リディアとかが何か言って来たら、貴方の所為にするからね? いいわ。このレスターをケイ全土で最も清潔な街にしてあげようじゃない。……あ、貴方もしかして、他の街も同じようにしろとは言わないでしょうね?」

「言いませんとも。そんなお金が無いのは知ってますよ。ただし、軍の方もお願いしますね。先日従軍した時は大変難儀しました」

 私の行動範囲だけヤバイ菌と悪臭から守られれば、何も文句はない。
 それに大々的にやっては目立ってしまう。
 下手をすれば、真田に違和感を持たれかねん。
 だが手法をグレースに考えてやってもらえば……まぁ大丈夫だろう。

「分かってるわよ。……まだ言いたい事がありそうね」

「はい。各地の群雄が送り込んでくる細作に情報を取られないようもう一度対策を練り直して下さい。下働きなどで新しい人を採用するのなら、今直ぐにするとか。
 そうやって私達と草原族の正確な関係を秘密にした方が有利だと思いません? 協力関係が全くなく、草原族を領地から追い出すのが難しい状態である。と思わせられれば最高でしょう」

 草原族について知られないのが大事、と思わせておいてこの対策によって私の名前が出にくくなる方が重要だ。
 まだ子爵にもなってない真田では、ここまで手を伸ばすのは不可能。
 しかし大きくなれば、確実に各地の情報を集めようとする。
 そうしないようなアホしか居ない陣営であればより望ましいが、敵の無能を期待しちゃいけんべ。
 今から対策を練った方がいい。
 群雄経由で話が広まる可能性も在る。

「そう、ね。確かに……フィオ、複雑な顔をしてるけど貴方には期待してるんだからね? ちゃんとしなさいよ?」

「分かってるっス。領土全体に散らばる草原族も使えれば、かなり良い対策が出来ると思うっス。というかその程度分かってたっスよ。なのについ先日まで下級官吏だった男に言われると……しかも、アイラ殿を護衛みたいに従えて……ぐぬぬぅっス」

「いや、それは、分かるけどその程度でやる気を……はぁ……まぁ、フィオがこのリディアみたいだったらあたしも落ち着かないでしょうけどね……」

 分かり切った話だったか。そりゃすまんねフィオ。
 アイラさんについては心の中でも謝らん。諦めれ。
 と、外から走りこんでくる音がする? なんだ? とりあえず末席のその他って感じの場所に移ろう。

「会議中失礼致します! ランドにて変事が御座いました!」

 む、カルマとグレースの表情が硬い。
 予想がつくのか?

「詳しく話せ」

「はっ! 五日前ランドにて、ビビアナ・ウェリアがアルタ・カッチーニに毒を盛られた報復としてアルタ・カッチーニを処刑したとの事」

「毒? それは本当なの? それとアルタが死んだのは間違いないのかしら? ケント様はご無事?」

「毒が事実かは全く分かりません。そう発表があったのみ。アルタ・カッチーニが死んだのは確実で御座います。ケント様はご無事で、ビビアナが改めて後見する旨が発表されました」

「そう……分かったわ。ご苦労。下がって良いわよ」

 やはりそうなったか。
 官僚を殆ど殺す程に敵対したビビアナと、最後の十官が分かり合えるはずも無い。
 毒を盛ったのが事実かどうかは分からない。
 単に政争があり、アルタが、お茶を売りに行ったときにあった人が負けた。それだけだ。
 美人で、エロくて、良い人だった。
 残念だ。

「アルタ……愚か者が。せっかくの忠告を無駄にしおって……」

 え? 今ボソっと言ったのはカルマ? アルタと親しかったのか?
 尋ねたいが……いや、私が踏み入って良い話じゃなさそうだな……やめておこう。
 それよりも、この事件が世の中にどう影響するかを考えなければならない。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ