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戦乱の帝国と、我が謀略~史上最強の国が出来るまで~ 作者:温泉文庫
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ダンとオウランの話し合い2

「しかし色々お願いしてしまってすみません……勢力が増えて苦労されてるのは分かっているのですが……他にお願い出来る人が居ないもので」

「理解してもらえるのは嬉しいのですけど……ダンさんの所為でもあるんですからね?」

「それは、はい。申し訳ない。でもケイの状態が不安定になって来たのはオウランさんも感じるでしょう? 今苦労して損はありませんよ。多分。今回もオウランさんが苦労して来たお陰で、もしかしたらご希望に沿えるかもしれないのですから」

「うう、分かってますよ。これは単なる愚痴です」

 そう言いながらオウランさんはため息を吐いている。
 苦労させてしまってすまんのぅ。
 しかし、愚痴をいう程に親しく思ってくれていたのか……それは嬉しい。

「愚痴、ですか。それは嬉しい。オウランさんとは出来れば何時までも愚痴を言い合うような親しい関係で居たいもので」

 私がそう言うと、さっきまで溜息をついていたオウランさんが突然身を乗り出して私の手をしっかりと握った。
 お、おおう。
 吐く息を肌に感じる程近くで、そんな熱烈に見つめられると……ドキドキするぜよオウランんさんや。
 どしたの? この姿勢ドラマなら愛の告白シーンっすよ?

「本当に? 本当に親しい関係で居たいと思ってくれるのですか? ダンさんにとって、わたし達は大事な存在と言えるのですか?」

 ほ、ほわっ? 我が人生においてここまで熱烈に求められたのは初めての経験……。
 どしたのオウランさんや。

「大事も何も……えーと、今私がアイラさんと一緒に住んでるのはご存知ですよね? あれはカルマ達が危害を加えて来る可能性を考えると、一人では安心して眠れないからなんです。彼女達にとって私の配下と言ってる三人が必要な現状でそのような事態はまず起こらないと考えているのに、尚これ程臆病な私が今草原族の方しか居ないここに一人で居る。それだけ私がオウランさんを信頼し、大事に思っている証拠だと考えて頂けませんか?」

「……あ、そう、ですね。確かに……はい。すみません、余りにも頂いた分が過大で、不安なのです。どうか今後今まで以上にわたし達を信頼し、頼って下さい。今までのご恩、必ずやお返しします」

 おうふ……。
 後ろの人達までもオウランさんと同じ不安げな表情で私を見つめてる。
 今ここに居るのは上位の人間だと聞いた。
 渡した物の本当の価値を考えれば、こうなってもおかしくはないけど……誰一人傲慢になってないとは……。
 全ては目の前の人が長だからこそ、か。

「大いに勢力を増やしてるのにここまで謙虚だとは……オウランさん達にはほとほと感心しました。しかも……貴方達はこれから更に強大になる。例え私が何もせずとも。ですよね?」

「……はい。恐らくは。しかしケイの動き次第では問題が起こるかもしれません。流石にケイの諸侯が集まって討伐に来れば逃げるのも難しい」

「だからこそ隠すように努力してこられたのでしょう? そして上手く行っている。オウランさんが草原族の長になったのは噂話でさえ私は此処で聞いていません。今後は配下にした部族にオウランさんが長だとは言わせず、元々長だった者の名前をださせては如何でしょうか」

「それもダンさんの忠告通りにしただけじゃないですか。わたしの名前を出させないのは……有効そうですね。やってみます」

「はい。お試しください。さて忘れないうちにこちらの書をお渡しします。以前お渡しした攻城兵器をケイの戦術書から調べ直して私が書き写した物です。難しいとは思いますが、少しずつでも作れるようになってください。大事にしてくださいね?」

 マジ大事にして欲しい。これを作るのはかなり大変だった。
 書物は貴重だから、アイラさんが押し付けられていた書を見つけてやっと写し始められたのだ。
 締切日の今日に間に合わせようと苦労したっす。

「又……書物ですか。あ、す、すみません。ちゃんと読みます……。以前いただいた書だって何度も読み返してるんです……よ?」

 いきなり頼りなくなった……。
 ……相変わらず勉強嫌いなのね。

「どーーーしても読みたくないのなら、信頼出来る方に読ませてください。それと、以前私が指導した出産に関する注意点はどの程度試されました?」

「……すみません。お話された内、二割程度しか……」

「やっぱり難しかったですか……。でも私の話が皆さまを考えての事だと知って頂けました……よね? その信頼でもって出来る限り推し進めてもらえませんか?」

「其処まで言われるのでしたら。此処に居る全員の力でもって何とかします」

「子供に関しては難しくて当然ですが、慎重にしっかりと進めてください。必ず効果があるはずです。疑問点があれば文でお願いします」

「はい。あ、ダンさんが作って欲しいと言ってた羊毛で作った寝具を四人分持ってきましたよ」

「おお、有難うございます。今日の深夜にでもこっそりと頂きに来ますね」

 やったぜ。これでうっすい布同然の掛布団からおさらばだ。
 ベッドは藁の上に布を敷いた物でいいのだが、寒いレスターでは掛布団が足りてなかった。
 これからはヌクヌクと快眠できる。
 三人も喜んでくれるに違いない。

「了解しました。あの寝具とても心地よくて素晴らしいと思います。出来れば売りたいのですけど……ダメ、ですよね?」

 そりゃ売りたいよな……高く売れるに決まってるのだから。
 だが地味だけども布団をケイで見た記憶がない。
 世に出せば真田が違和感を覚えそうなんだ。
 ……だったら作らなければ良かったのだけど、何時か絶対風邪を引きそうだったんだもの。
 体調を壊さないのは最優先事項。……寒い中寝たくないし。

 ……うん? 昔決め台詞が『最優先事項』だったオバサンが居たような……誰だったっけ……。
 苺以外どうでも良かったのだけは覚えてるのだけど。
 ってどうでもいいオバサンの名前なんかの為にオウランさんを待たせてはいかん。

「出来れば配下への褒美など身内のみに止めてくれれば有り難いですね。ケイの人間に売らないといけなくなった場合は……高い身分の人間だけにして世に出ないよう気を付けて頂きたい。……もしかして今お金が足りてないのでしょうか?」

「はい……少し。配下が急に増えたので、食料に不安が出てきました。官僚が殆ど殺されたのでお茶が売れなくなってしまいましたし。明日の交渉でトーク領でもお茶を売れるようになれば、問題の半分は解決されますが売る量自体は増やせません。木の数に限りがありますから。……今回の交渉が上手く行けば全て解決しますけど」

 食料か……難しい問題だ。
 飢えて死ぬ位ならば、誰だって何でもする。
 だからこそ、常に整えておかなければならないのだが……。

「いよいよ明日が大事になってきましたか……。しかし残念ですが私は口出しできないと考えています。実行するカルマ達が意欲的に取り組まないと大きな問題が発生し、断られた方がマシだったとなりかねませんから」

「分かります。ダンさん……これは、決して命令とかではなく、もし望んで下さるなら、という提案なのですが……言ってもよろしいでしょうか?」

 おっとー? 引っ張りますねオウランさん。

「言って下さらないと分かりませんよ。遠慮なくどうぞ」

「では……もしも望んで頂けるのなら、ダンさんにここの本当の領主となってもらいたい。そうわたし達は考えています。その為の力は当然わたし達に任せてください。
 カルマをわたし達が預かって人質とすればグレースも従うでしょう。その際には明日お願いする件を約束してもらえないと困ってしまいますけども……。上に立って頂ければ、ダンさんが今日のように屈辱を耐える必要もありません。……正直に言えば今日のようにするのは心苦しいですし……嫌なのです」

 あー……オウランさんから見れば、有効な手に見えるだろうね。
 しかしその提案はすぺしゃるわんだふるぐれいとでんじゃー。
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