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戦乱の帝国と、我が謀略~史上最強の国が出来るまで~ 作者:温泉文庫
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カルマがランドに赴いた影響11

「えーと……草原族の方には敵軍が進軍中全く寝られないように昼夜問わず鐘を鳴らすなどの邪魔をし続けて貰おうと思っています。死人が出るような戦い方をお願いするのは厳しいですし。駄目でしょうか?」

「……それが出来るのならカルマ達にとっては闇夜の光。しかし、草原族がこちらの言う通りに動いてくれるとは……。途中の村々を襲われたならば、結果に関わらず負けたも同然となる。そもそもこの領地が非常に危険な状態であると教えた場合、更なる災いを呼び込みかねないとご承知でしょうな?」

「はぁ、まぁ、多分。私が跪いて請い願えば話は聞いてくれると思うんです。敵の兵糧等も多くを向こうに差し上げた上で、後はカルマに代金の請求が行くと思います。それが決裂してしまえば……どうしようもないですね。でも、とりあえずは目の前の事じゃないですか?」

「確かにお茶の販売等で利益を与えているし、カルマ自身も上手く共存してきたようですが、一氏族では厳しいはず……いや、ダン。確信があるのですね?」

「確信はありません。兵数などについては今言った事が教えて頂いた二万の兵相手に可能な位出して頂けるか、これから先方に聞かないといけませんし。が、これで駄目なら私の能力を超えています。今からでも逃げた方が良いですね」

「確信が在るのなら結構。しかし、カルマが帰ってくれば中々忙しくなりますな。すぐさま動かなければ、あっという間にレスターは包囲されてしまう」

「いえ、確信は無いって……いや、はい。……あー、では私は彼女が帰って来たと同時に脅さなくてはならないのですね? 従わなければ死ぬぞと言って」

「そうなります。痛く彼女の誇りを傷つけるのは間違いない。アイラ殿が守ってくれると、それこそ確信を持てなければ止めた方が無難ではある。それでもやりますか」

 そーなんだよね。
 元から彼女の行動次第なんだ。
 彼女と出会う前からこうなるのを考えていたわけじゃないが、結果としてはそうなってしまった。
 一応彼女がカルマの側に着いた場合も考えてはある。
 しかし、余り使いたい手ではない。

「アイラ様には、カルマを助けて欲しければ配下になれとこれから言うつもりです。その時の反応で決めようかなと」

「……もしもアイラが激高すれば命は無いというのに……自信がおありか」

「一応一緒に暮らしていますし、話を聞いて下さる人だと知っていますから」

 それに、彼女がカルマの配下のままでは今後やっていけない。
 リディアに守って貰うという手もあるが、結局最後に行きつくのは暴力の力。
 ここで最強であるアイラがカルマの為に動くと決心すれば、何をしても防げ無いように思える。
 だから彼女がこちらに付くのと、常に監視するのは必要不可欠なのだ。
 今一緒に住んでるのはその為でもある。
 打算抜きで彼女と仲良くしたいとは思うが、そうも言ってられん。

「彼女を良く知っておられるようだ。殆どの人間が彼女に近づかないというのに」

「……妬けます?」

「ええ、激しく」

 ……うっ。

「す、すみません。ちょっとからかって見たかっただけなのです。お許しください」

「いえ、考えますとからかって頂いたのも初めてです。中々宜しく思えました。ご安心を。嫉妬のあまりアイラ殿に毒を盛る時は、謝罪として(わたくし)も毒を飲みます」

「……あ、あの、それ、冗談ですよね?」

「当然。アイラ殿がどれだけ貴重な武将かご存じだからこそ一緒に暮らされているのでは? そのような人材を嫉妬で離れさせる程愚か者とお思いならば、不本意でございます」

 いや、そういう場合は表情を……。

「出来ましたら、今後はもう少し冗談だと分かり易い物にして頂けると……」

「ふむ。よく言われます。努力しているのですが難しい」

 努力って……何だろう。
 実らないものかな?

「えーと、確認しないといけない問題が何か……。あ、バルカさん。上手く事が運んだ場合、アイラ様が私の配下となります。獣人である彼女と共にやっていくのは不快なのではありませんか? 難しいかもしれませんが、仲良くやって頂けないでしょうか。それで、獣人について不快に思ってる点があれば教えて下さい。誤解であれば、説明を聞いて頂きたいのです」

 リディアが配下になるというのは元々の計画に欠片も無かったので、これに関しては散々頭を痛めた。
 そして話し合うしかないと言う結論に。
 配下は増える。軋轢も増える。嬉しいだけでは終わらないのが人生の辛いところだな。
 それでも少しでもマシになるよう積み重ねて生きて行くのも人生だ。
 つーか、そーしないと突然死する時代になっちゃったんだよね。
 何と言っても乱世っす。
 人間関係が悪いと付け込まれて謀反から寝首で首チョンパコースっす。

「我が君は誤解をなさってる。(わたくし)は獣人に対して隔意を持っておりません」

「我が君? あ、いや今は良いです。それよりも、ケイ人、しかもランドに住んでおられる方は殆ど……」

「ああ、皆まで言わずとも結構。その通りですが、元より獣人に対して隔意を持っている人間が辺境で生活しようと思う訳が御座いますまい?」

 あ、うん。確かに。ここはランドと違って普通に獣人歩いてるしね。
 食べ物やさんに入ったら、隣に獣人が座るのも特別珍しくは無い。 
 リディアが定食屋みたいな店に行くかは知らないけど。

「獣人を下に見る気持ちが無かったとは言いませぬ。しかし物事を見る時には感情を抜きにして見るように教えたのは貴方ではありませんか。そこらの獣人ならともかく、アイラ殿は使いようによっては天下一の将軍。(わたくし)としても親しくして行きたいと考えております」

「え、私そんなの教えましたっけ?」

「はい」

 ……いかん、さっぱり思いつかん。
 ま、いいか。アイラとぶつからないでくれるならとても有り難い。

「ま、まぁ今後ともよろしくお願いします。近日中に私はアイラ様と話をするので、全てはその後にしましょう」

「承知」

 これでかなり疲れた初めてのリディアとの会議は終わり、私は家に帰った。
 家ではアイラがまだ起きてたけども、流石にこれから更に話し合いは勘弁と思い寝る事にした。
 相手を論破したい時には、相手が疲労してそうなタイミングを狙え。と、ある怖いお方は言ったらしい。
 ごもっともである。だって面倒になっちゃうからね。
 故にこれはサボったのではない。戦略的撤退なのだ。
 ……おやすみなさい。
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