時代の正体〈404〉24条の危機(4)守るべき理由

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2016/10/07 15:39 更新:2016/10/08 22:04
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同性婚容認と「改憲」の欺瞞

【NPO法人レインボーアクション代表理事 藤田裕喜さん】
 「セクシュアルマイノリティーと政治」について考えたとき最近、大変注目すべき動きがありました。

 自民党が5月に「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」という提言を発表した。議員立法を含め、自民党としても取り組むという。

 ここで注目すべきは「同性婚」についてです。現行憲法は婚姻は「両性の合意」となっていますが、もちろん「同性婚」の可能性は排除していません。

政治利用に危機
 ここで気をつけなければならないのは「同性婚」を実現するために「憲法を改正しなければならない」という人たちがいるという点です。同性カップルの人の中にも、同性婚を実現するためには「明文で憲法を改正する必要がある」という人たちがいる。

 どういう分野でも、良くも悪くも、当事者の声は政策、政治を正当化するための手段として利用される。

 私はここに大変強い危惧を感じています。

 なぜか。稲田さんがLGBT(同性愛や性同一性障害など性的少数者)に興味を示し、利用しようとしている動きがあるからです。

 2015年12月にハフィントンポストというニュースサイトに稲田さんが「LGBT すべての人にチャンスが与えられる社会を」という文章を寄稿しました。今年5月には(LGBTへの差別や偏見をなくそうという趣旨の)東京レインボープライドというパレードに稲田さんは訪れ、寄付したり写真を撮ったりしていた。こうした行動に賛否がある。

 かねて稲田さんという人は家父長制や伝統的な家族が大好きで、同性婚や性同一性障害を認めてこなかった人です。この変節ぶりは、にわかに信じがたい。(改憲の足がかりに)利用しようとしている動きに注意しなければならない。

本質的解決と無関係
 セクシュアルマイノリティーあるいはLGBTについて、その権利の拡大に異議を唱えることは、基本的に難しい状況がある。

 私自身は結婚制度や戸籍制度それ自体に反対しているので、同性婚にも反対しますが、皆さんはどうでしょう。分断を迫るわけではありません。

 ですが、これは「壮大な罠(わな)」です。LGBTの人たちが生きやすい社会になればいいよねと、安易に同性婚のためにと、憲法改正に賛成すると、(他の条項にも手が付けられ)取り返しのつかないことになりかねない。

 セクシュアルマイノリティーを取り巻く課題は、同性婚容認がゴールでもスタートでもない。いじめ、嫌がらせ、偏見、誤解に対してやるべきことが他にもたくさんある。同性婚が実現したからといってこれらの課題が解決するとは到底思えません。

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