浪人。この言葉にどのような印象を持っていますか?社会のレールから外れる。周囲の人たちから遅れを取る。就職でも、進学でもない。そして、親に負担をかける......。そう、浪人することに不安を感じる人は数多くいることでしょう。
「浪人だけは絶対に避けたい!」と思うかもしれませんが、そんなにネガティブにならないで!受験を控えたあなた、または浪人しているあなた!実は、浪人したからこそ得られることもあるのです。
今回は、浪人経験者を集めて座談会を開きました。ぜひ浪人した人の生の声をお聞きください。浪人に対するイメージ、ちょっと変わるかも。
【座談会メンバー】
三嶋 R大学4年生。進行役で今回のメンバーで一番卑屈な浪人。
渡辺 B大学4年生。浪人して某国立大に受かるも、そこを蹴り、親を泣かせた浪人。
黒沢 R大学4年生。身長180cmオーバーのイケメン。全てを包み込む優しさを持つ浪人。
斉藤 R大学4年生。アクティブなこと大好き。好きな言葉は「BBQ」な浪人。
「浪人なん"ですか⁉︎"」大学入学直後に感じるもどかしさ
早速始めたいと思います!まず、浪人の良さを伝える前に、現役生との違いやもどかしさを紹介したいのですが、皆さんの経験談を聞かせてください。
現役生との違いを最初に感じたのは新歓期の時ですね。私服だと新入生向けのビラを配られなかった(笑)。 入学式でスーツを着たら、新入生として認知してもらえたんですけど。
一つ違うだけなのに、なぜかもらえないんですよね(笑)。 あと、浪人と言えば必ず訪れる、「カミングアウトの瞬間」って気まずくないですか?
すごくわかる!いつ言おうか迷いますよね。私の場合、「浪人なんだよね」って言った後に、急に敬語を使ってくる子がいた。数秒前までタメ口だったのに、浪人って言った途端に「浪人なんですか?」って(笑)。
一同 あるある!(笑)
1年生の頃、大学の友達に誕生日にサプライズでケーキをもらったんだけど、ロウソクが一本足りなかった・・・。
一同 それはそこまで黙っているのが悪い!
これは私だけかな? 逆の場合もあって、浪人をカミングアウトしたら、最初に友達になった人がみんな浪人だった(笑)。
それもめっちゃわかります!僕が最初にグループになった友達は8割くらい浪人でしたもん(笑)。
なぜか浪人って同じ匂いを感じている節あるよね!僕はすぐにカミングアウトしてましたよ。でも、困ったのが先輩に対して打ち明けた時で、「じゃあ同い歳だからタメ口でいいよ」と言われた。でも、一応先輩だし、その他の先輩にはタメ口をきくわけにはいかないし。結局、敬語で話していました。
あとさ、サークルだと自分が3〜4年生になった時、急に後輩と年の差感じませんか?
僕らが3年生だと、1年生が3つ下になるからね。高校の後輩って2つ下までだったから、確かに未知の領域だった!
そうそう。「考え方がちょっと違う」と思った。でもこれもしょうがないことなんだけどね。成人式とか1年生の頃だったし。
成人式懐かしい!現役生だと2年生で成人式を迎えるんだけど、「あれ、わたしは何年前だったっけ?」って思い返してしまいますもんね。
いろんな場面で、浪人と現役生の年齢差は感じますよね。1年しか変わらないけど、大学生の18歳〜22歳ぐらい4年間の中では「1年の違い」が割と大きいってことかもね。
一度、社会から外れる浪人期間は、とにかく自分自身と向き合う期間
浪人時代って毎日勉強で辛かったり、周りから冷たい目をされたりしますけど、皆さん、実際に浪人していた時ってどんなこと思ってましたか?
私は「生きるってなんだろう」って考えていました。
一同 え!?
病んでないですよ(笑)。ただ1年間、"休憩"じゃないけど、自分自身を見つめることができるっていうか、将来のこととか考えるじゃないですか。自分は何がしたいのか、そのためにはどの大学に入らなければいけないのか、ずっと考えてました。
あー、それは考えましたね。僕の場合、本当にやりたいことがなくて「行きたい大学とか別にないなぁ」って思っていた。でも予備校の先生に「それなら大学に入学した後、やりたいことを見つける努力をしなさい」って言われたんです。
だから、「ある程度名が知れた大学に入って、やりたいことはそこで見つけよう!」ってなった。こういう気持ちがきっかけで、3年生のときにベンチャー企業でのインターンを始めたんだと思う。
うんうん。浪人中に、1年間ゆっくりと自分を見つめることができたのは、大きいと思う。僕の場合はやりたいことを明確にして大学に入ることができた。これは浪人の特権だよね。
もう一つ、浪人の特権だと思うのは、勉強の面白さを知れたことかな。予備校の授業がすごく面白くて、自ら勉強したいと思ったのは人生で初めてだった。歴史を一から真面目に勉強し直したんだけど、本当に面白かった。
あと、浪人中はお金のありがたみをひしひしと感じた。浪人だと、予備校の夏期講習がいくらで、受験にいくらかかるかが全部わかる。予備校の講習も何を受けるか自分で決めるから、ある程度計算できてしまうっていう......。
それは私もすごく感じた!浪人したんだから、さすがにもう受験で落ちることはできない。だからと言ってそんなに多くの大学を受けられない。だから私は親から予算を聞いて、その中で受験する大学を決めていたなぁ。
浪人中に、「この1年間いくらお金使っているのか」を計算したことがあるんですが、およそ100万円でしたね。
一同 同じくらい!
みんな計算するんだね(笑)。だからさ、働いている親には頭が上がらないですよね。「本当にありがとうございます」って思いながら予備校に通っていました。
入学前に大学1年生は経験済み? 先に大学へ入学している友達の存在
よく、現役で入学した同級生から「先に大学に入っている友達から情報取集できるのが羨ましい」って言われるんですけど、皆さんはどうでした?
聞きますよね。まずは学部のことかな。どんな学部があって、何が学べるのかは聞いてましたね。あとは、サークルのことを聞きました!どの大学を受けるか決まってなかった時、どの大学にもある「学園祭を運営するサークル」なんかの話を聞いてました。
先に大学に入学した友達の話で、びっくりしたのがあるんですけど......。
なんでしょう?
※「よっ友」って聞きませんでした?
一同 ああ(笑)。
※「よっ友」とは
すれ違った時など、「よっ!」と挨拶を交わすだけの間柄の、知人に限りなく近い友人。中学高校よりも主に大学で発生し、特に入学時や新歓期などにクラスやサークル見学で「初めて会う」機会が多発するため、激増することが多い。
僕は、はじめは信じられなかったのですが、これは絶対生まれてしまうと聞いていて。入学してから、「なるほど、本当だ」って納得できましたね(笑)。
なんか、先に入学した友達から話を聞くだけで、なんとなく大学1年生のイメージができますよね。だから自分の番の時に動じないというか。「あ、これが友達が言っていたやつか」って(笑)。
一人で戦った浪人の経験が、就活で活きる!「なんとかできる」感覚
僕、就活をしている時に、「浪人の経験って強みだな」と感じたことがあったんですよ。
1年先に就活をしている友達がいるから、とか?
それもあるけど、僕が感じたのは、浪人って「一人の戦い」を経験しているということ。だって思い返してみてください。浪人って、先に大学に入学した友達がいたり、周りに同じような浪人生がいたりする中で、最終的に大学に合格するかどうかって自分の責任じゃないですか。
高校3年生だと、クラスの全員が勉強してって感じですけど、予備校に入ると知らない人ばかり。家族だって受験に対して特別な知識があるわけではないし、本当に一人の戦いだったなって。
就活も全員が同じように始めるけど、働きたい業界や会社は人それぞれで、みんながみんな同じ行動をとることってほとんどない。会社を受ける時期も異なりますし。だからこそ、一人の戦いである就活の時に浪人は強いなって感じました。
わかります!これこそが浪人の強さだと思う!私も就活の時に感じたことがあって。さっきも話に出たけど浪人期間って1年間、自分自身を見つめるじゃないですか。で、就活になるとみんな必ず「自己分析」しなきゃいけなくなる。でも、浪人期間に一度、自己分析できているんですよ。
私の場合、浪人中に「なんで生きているんだろう」ってところまでさかのぼっていた(笑)。だから大学生活の2〜3年を分析するだけで、済んでしまいました。この時は、「あ、浪人してて良かったな」って思いました(笑)。
周りの人ほど、就活を苦に感じないのは大きいと思います。一人で戦った経験と自己分析を一度している。これは現役生にはない強みだと僕も思います。
僕は浪人したからこそ「大学の4年間を無駄にはしたくない!」って思っていた。「色々なことに挑戦してみよう」って。たぶん、その根っこにあるのが、浪人して一人で戦った経験だと感じています。浪人で"なんとかなった"経験があるから、何に対しても「なんとかできるでしょ!」って挑戦できます。
この思いがきっかけで、私はミスコン出場を決意できました。
一同 え、ミスコン出てたんですか!?
はい、ミスターにはなれませんでしたが......。
ミスコンみたいにすごい事ではありませんが、僕はヒッチハイクをしましたね。せっかく苦労して入ったのに何もしないのはもったないと感じたので、「何か大きな経験がしたい!動かなければ!」と思いました。
なるほど。そう考えれば、僕も一人でベンチャー企業でインターンを始めたし、一人でフィリピンにも行けたのかなと思います。
私も、周りの人より多く数社でインターンを経験したんですが「きっと何とかできる」っていう気持ちがあったからです。
また、僕の場合、浪人したからこそ変化した自分があるんですよ。
ミスコンも出てるのに......。それ以上どこを変化させれば気が済むんですか!
ルックスの話じゃないですよ!(笑)。僕は私立の一貫校で、小学校から塾に通っていました。でも、本当に塾が嫌いだったんです。本当に行きたくなかった。でも、浪人したことが"塾嫌い"から抜け出す転機になりました。予備校の先生の話が面白いから、行くのが楽しくなったんですよ。
それで、大学に入学してから塾講師のバイトを始めたんです。浪人中の経験を振り返って「自分だったらこうやって教えることができる」みたいな、当時の先生の知恵を真似して...。それで、勉強嫌いな生徒が自分を介して、少しでも勉強を好きになってくれたらと思って。
イイ話すぎる......。顔だけじゃなくて心までイケメンなのか、この人は。
でもちょっとわかる!僕も変化した部分があります。浪人の時、親がすっごく応援してくれたんですよ!毎日お弁当を作ってくれて、夜遅く帰っても、暖かいご飯を作ってくれました。そして大学に受かった時は心から祝福してくれて......。
この時に思ったんです。入学したら、ちゃんと両親に「大学で何をしているのか」とか「こんな面白い出来事があった」とかを話そうって。それが恩返しにもなると信じて。結果的に、高校の時よりも圧倒的に会話が増えましたね。
さらにイイ話ですね......。
浪人生活は辛い。でもその経験は必ず人生の糧になる
では、最後にまさに浪人している人や、これから受験を控えている学生、はたまた浪人していた人に向けてメッセージをお願いします!
浪人生活は辛い事ばかりですが、終わったら絶対にしてよかったと思えるはずです。だから、1年間しっかりと自分を見つめてみてください。
1年間あれば偏差値を20伸ばすこともできます。でも受験が成功したら、それに満足せず、大学で色んな事に挑戦してみてほしいです。
浪人の経験があれば、いい意味で楽観的に物事を見ることができるし、それが強さにもなります。なんとかできる!という気持ちを持って、頑張ってください。
浪人は親に迷惑をかけますし、いざ、すると決まったら不安ですよね。しかし、一生懸命頑張れば、必ず自分の人生の糧になるはず。臆することなく、行動あるのみだと思います。
一同 浪人生よ、胸を張れ!!!!
(取材/執筆:三嶋悠太郎 編集:富澤友則)