2020年の東京オリンピックに向けて日本が海外から注目を集める昨今。総務省も「2020年に向けたICT化アクション・プラン」と題し、日本のICT化に取り組んでいます。
“日本の力”を一歩先に進めるために様々な分野で行われている研究開発。もちろん、デジタルサイネージやプロジェクションマッピングの分野でも同様です。
そこで、ご紹介したいのは、映像産業と共に歩んできたイマジカ・ロボットグループが、人材育成を通じてコンテンツ産業の発展に寄与できるよう「アジアNo.1映像クリエイターの登竜門」を目指して設立したプロジェクションマッピングアワード。
2016年3月にプレ開催の「プロジェクションマッピングアワードvol.0」が行われ、7校、9チームが参加。東京ビックサイト会議棟にて上映会と表彰式が行われました。
その後、最優秀賞に輝いた1作品と優秀賞の2作品が定期的に同所で上映されています。
というわけで、今回は主催の株式会社ピクスさんにアワードの開催の経緯や、作品について、またプロジェクションマッピングのことを聞きしました。勿論、現地で上映作品の映像も撮ってきましたので是非、ご覧ください。
ここ数年、ひとつの映像ジャンルとして確立され、様々なシーンで使われるコンテンツとなっているプロジェクションマッピング。
しかし、学生や若手映像クリエイターにとっては、コンテンツの制作や投影のコストが高額であるために、挑戦するハードルが高いコンテンツでもあります。
とはいえ、現在活躍している多くの映像クリエイターは「見ている人が感動してくれた」というような「作品を楽しんでもらう喜び」をきっかけに、プロを目指す場合が多いといいます。その点で、「観客からのダイレクトな反応」などの要素を多く内包しているプロジェクションマッピングは“ものづくりの醍醐味”を経験するにはうってつけなのです。
今回、上映されたのは最優秀賞と優秀賞の合計三作品です。選出にあたっては、下記の基準で審査したそう。
・大人も子供も楽しめるエンターテイメントなコンテンツかどうか
・3DCG、アニメーションの技術をうまく活用できているかどうか
・プロジェクションマッピングとして、投影面の特徴を生かした迫力ある3D表現かどうか
・高精細、高色域の特徴を生かした映像表現かどうか
・音楽と映像の融合を活かした表現かどうか
それでは、これらの基準を踏まえて、各受賞作品をみていきたいと思います。
学校名:首都大学東京 インダストリアルアートコース
代表者:村山 雄太さん
メンバー:冨永弘太郎さん、鈴木理紗さん、清水愛恵さん
作品内容:コンセプトは「イマ+1=ミライ」。イマという瞬間に何かが足されてミライになる。どんなに小さな"1"でも、ミライで思いもよらない変化につながることがある。その"1"に着目したストーリー。
受賞理由:審査員より多数の得票数を獲得し、満場一致で最優秀賞に決定した作品。東京ビッグサイト会議棟の形状を活かし、プロジェクションマッピングらしい表現をふんだんに取り入れ、音楽と映像が融合したダイナミックな映像となっている点が評価され受賞となった。
学校名:多摩美術大学
代表者:でんすけ28号さん
メンバー:持田寛太さん
作品内容:工事現場で働く何の変哲もない作業団の中で一人未来道具を手に時空を飛び交う作業員の姿を描いたCGアニメーション。
受賞理由:審査員の中でも作品の内容がプロジェクションマッピングに適しているのか、投影対象の形状などを活かしているのかなど、様々な議論があった作品でした。他のチームがプロジェクションマッピングらしいつくり方をしている中、それをくつがえすような形式を意識しない自由な表現をしているオリジナリティや、主人公となる工事現場のキャラクター、それが地上から宇宙に飛び出す冒険のストーリー展開などが評価された。
学校名:デジタルハリウッド大学
代表者:ロペス・ルシアさん(LOPEZ ROLDAN LUCIA)
メンバー:三代飛翔さん、松本豊さん、ORIOL PASTORさん
作品内容:『未来』宇宙船のサイバー旅をテーマにしている作品です。クラブ音楽とシンクロを大事にしながら、地球の外から、色んなサイバー未来をみせる旅を表現しています。
受賞理由:サウンドとビジュアルを身体で感じてほしいというメッセージの通り、疾走感あふれるビジュアルが印象に残る作品。
以上の三作品が、プロジェクションマッピングアワードvol.0にて、表彰されたものです。
各作品とも、非常に面白く、学生や若手クリエイターが作ったものとは思えない出来栄えだと感じます。
なお、なぜ東京ビックサイトでの上映になったのかというと、東京ビッグサイトでは過去に2本、主催の株式会社ピクスさんがプロジェクションマッピングのコンテンツ制作を担当したそう。
同社が機材の選定や設営から上映に関わってきているなかで、今回のイベントに繋がったといいます。また、投影対象となる東京ビッグサイトの会議棟の壁面は、凹凸などが少ないので他の建物に比べるとプロジェクションマッピングの制作が容易で、初めてプロジェクションマッピング作品を作る学生にも適した建物であるそうです。
一方で、一見複雑な形をしている東京ビックサイトですが、この形を生かして作るのはクリエイティブ力の見せ所なのでしょう。
今回ご紹介したvol.0はプレ開催として行ったそうですが、本格開催としての第1回は2016年12月17日に実施が決定。
第1回からは「東京国際プロジェクションマッピングアワード」と名称を変更し、日本だけでなく国外の学生も参加できるアワードとなります。
6月より公式WEBサイトで参加チームを募集し、企画提出などの第一次選考を経て海外校を含む18チームの参加が決定しました。現在では、12月の上映会へ向けて本制作を開始したそうです。
普通の映像コンテストとは違い、学校単位での参加が特徴であるプロジェクションマッピングアワード。
「1人の優れたクリエイターが出たら終わりという一過性のものではなく、プロジェクションマッピングを教育に活かし、『ロボコン』などのように後輩達に受け継いでいくようなアワードにしていきたい」といいます。
映像の中身だけではなく、周りの環境や投影物までをも計算し、コンテンツ作りを行うプロジェクションマッピング。
2020年とその先を見据え、作品を作り続ける参加者たちはこの先、日本のコンテンツを引っ張るリーダーになっていくかもしれません。
プロジェクションマッピングアワードのような素晴らしい動きが、この日本をコンテンツ大国へと引き上げる一助になるのではないでしょうか。
プロジェクションマッピングアワードの公式サイト:https://pmaward.jp/
株式会社ピクスさんのURL:https://www.pics.tokyo/
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