編集委員・永井靖二
2016年10月9日05時08分
日中戦争下、中国北部で鉄道経営を担った国策会社「華北交通」による約3万5千枚の写真が京都大学人文科学研究所にネガとともに保存されていた。主にプロパガンダ用に撮影・収集されたもので、沿線の炭鉱、工業施設、民俗行事のほか、人心を安定させる「宣撫(せんぶ)工作」の記録もある。
2008年の施設の移転時に確認されたが、大学の資産には登録がなかった。メディア史に詳しい京都大の貴志俊彦教授や日本カメラ財団の白山眞理・調査研究部長らが調査した結果、華北交通で資業局長を務めた故・加藤新吉氏が連合国側の没収を恐れ、人文研に寄託したものと分かった。
写真は1930年代末~40年代初頭のもので、被写体や撮影場所を記した台紙に貼られ、沿線の風俗、行事、風景、主要施設、炭鉱や鉱山、物資輸送などが撮られていた。
また、貴志教授らの分析の過程…
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朝日新聞社会部