〈時代の正体〉 あすヤマ場の副読本問題 「朝鮮人虐殺」記述どうなる

2013年度の改訂で写真が削除された関東大震災殉難朝鮮人慰霊之碑=横浜市西区の久保山墓地


注目される発言


 それでも、虐殺の背景には日本による朝鮮半島の植民地支配や差別意識があったことを説明する一文は残り続けた。教科書に載っていない、横浜の子どもなら知っていてほしい事柄を学ぶ副読本ならではの記述と言えた。

 再び雲行きが怪しくなったのは14年10月の市会決算特別委員会。維新・ヨコハマ会の小幡正雄市議が「分厚い副読本が必要なのか」と疑問を差し挟む。翌15年2月の市会定例会ではグローバル人材の育成というコンセプトでリニューアルすることを提案。ここでも市教委は同調し、新副読本への刷新が決まった。

 英語教材の要素も取り入れ、300ページ以上あった旧副読本から3分の1ほどに圧縮された原案はそうしてまとめられ、朝鮮人虐殺に関する記述の一切が消えた。

 7日の市教委定例会で議題に上る要望書は山田氏や田中正敬・専修大教授ら研究者約70人が連名で提出したもので、「中学生が大切な史実を知る機会を失う」として朝鮮人・中国人虐殺の事実とその背景を記載するよう求めている。

 「歴史の反省に学ばなければ子どもたちは虐殺する側に回ってしまう。教育行政が自らそうした子どもを育てる犯罪性を自覚しているか否かは、定例会で要望書に対してどのような発言をするかによって明らかになるだろう」

 北代表は、市教委が日本の歴史を肯定的に捉え、愛国心を育むことを主眼とする自由社、育鵬社の歴史教科書を採択してきたこと自体、そうした無自覚さの表れと感じてきた。

 市教委によると、今回の要望書は審査案件には該当しないものの、教育委員から市教委事務当局に説明を求める声が上がり、報告案件として議題にすることになったという。副読本作成を担当している指導企画課が要望書についての考えを教育委員に説明し、それを受けて教育委員から意見の表明や質問があるかは、その場になってみないと分からないという。

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