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 戦没者の追悼や慰霊を中心に活動してきた府遺族連合会が、「継承」を今後の活動の柱に加えた。体験者や遺族の高齢化が進む中、戦争の記憶と「二度と繰り返さない」との願いを語り継ぎ、犠牲者の供養につなげたいという。

 大阪市住之江区の大阪護国神社境内の会館で、9月28日、戦争体験のアーカイブDVDの上映会があった。会員や府内自治体の平和事業担当者ら約90人を前に、岡倉三郎会長(80)は「71年続く平和を次世代に引き継ぐことが犠牲者の思いに応える最善の道」とあいさつした。

 DVDは同会が提案し、大阪市の戦後70年事業の一つとして、今年3月に完成した。淀川、東成など市内9区が各地の遺族会の協力を受けて製作。約70人の遺族らが疎開、空襲、戦後の生活など体験を語る。

 淀川区は、小学生が地域に住む戦争体験者とともに、地元に残る戦争の痕跡をたどり、戦時中の食事体験をした。夫が戦死し、2人の子と生き延びたという女性が「道の草にも感謝。その草を食べてきたんやから」などと語る姿に、子どもたちは聴き入った。

 東成区は、中学生が地域の体験者にインタビューをした。爆弾が直撃して腕を吹き飛ばされた女の子を、母親らしき女性が抱きしめ、「助けて」と叫ぶ姿が忘れられないと、涙を流した男性。話を聞いた玉津中3年の大原叶夢(かなむ)さん(14)は「『けんかになりそうになっても、まずは話し合いで解決しよう』と言われ、普段の生活を見直すようになった」という。

 学徒出陣した11歳上の兄を戦争でなくした岡倉会長自身も出演した。会員の高齢化で、活動が先細る中、「これからの遺族会がすべきことは何か」と自問を続けてきたという。「戦死者の遺書を読み、『自分の死が犬死にになるかならないかは後に続く人次第』という思いを感じた。花を捧げるだけでなく、遺訓を伝承する活動も地道に続けたい」

 DVDは各区や市内の図書館に置かれている。府内自治体を中心に、希望があれば同会が貸し出すという。問い合わせは同会(06・6683・1787)へ。

 <大阪府遺族連合会>

 戦没者遺族の処遇改善を求め、「日本遺族厚生連盟」(現在の「日本遺族会」)が1947年に発足した。大阪では51年に、前身の府遺族援護協議会ができた。61の地域単位の遺族会に最盛期約5万8千人の会員がいたが、現在は57支部約2万2千人。