「二分法的な中国の歴史認識は韓国に中間的な立場を許さない」

 「1992年の韓中国交正常化の後、歴史問題は両国関係に大きな影響を及ぼし、今後も東アジアの秩序をめぐる両国の歴史的理解の差が対立の要因になるだろう」

 峨山政策研究院(咸在鳳〈ハム・ジェボン〉院長)が発行する英文の国際関係隔月刊誌『峨山フォーラム』7・8月号で、「歴史のレンズを通して見た北東アジア」特集が組まれた。この特集では、米国の東アジア専門家らが、過去20年余りにわたる韓中関係と歴史問題の相互作用を分析した。

 ブリガム・ヤング大学のカーク・ラーセン教授(史学科)は、最近の中国に対する韓国人の認識変化を追跡した記事で「韓国の政治家や官僚は、中国との関係において地政学的・経済的問題が優先されるよう努力を傾けてきたが、国民は歴史問題に深い関心を示した」と主張した。ラーセン教授によると、90年代は両国の経済的・人的交流の増大と韓国社会の反米的傾向の増大に伴い、韓国人の対中観は友好的だった。しかし00年代初めに中国の東北工程が知られるようになり、韓国で反中感情が台頭した。韓中当局は外交交渉を通して問題を取り繕ったが、民間レベルの歴史対立は続いた。そうして10年代に入ると、中国は韓中の抗日闘争連帯という歴史的経験を両国友好の連結環として浮き彫りにし、韓国を日本・米国から遠ざけることに力を注いだ。これにより、東北工程など韓中の歴史摩擦に対する韓国側の問題提起は減ったが、対立要因は潜在している-というのがラーセン教授の分析だ。

 プリンストン大学のギルバート・ロズマン教授(社会学科)は、韓国に対する中国人の認識を取り上げた記事で「中国の対外関係認識は歴史に根差しており、中国の指導者は『歴史カード』を好んで利用する。韓国に対しても例外ではない」と主張した。中国の知識人は、中国の「周辺地域」に位置して模範的な朝貢国だった韓国について「文明の恩恵を伝えてやりつつも領土を征服はしなかった中国に感謝すべき」と考えている。そして19世紀中盤以降、中国が「屈辱の時期」と冷戦期を過ごす中、韓国は中国と疎遠になったが、今こそ再び中国側に立ち、復活する日本軍国主義に立ち向かうべきだと主張している。

 中国の知識人は、中国中心の朝貢体制が東アジアの自然な秩序だと見なしている。韓国は米国など外部勢力とのつながりではなく、東アジア地域主義という枠組みの中で統一と国益を模索すべきであって、北朝鮮に対しても敵対的な態度を捨て、中国を北朝鮮との関係改善の懸け橋として活用すべきだと主張している。これらの知識人は、韓国政府による日本との慰安婦交渉の終結や高高度防衛ミサイル(THAAD)配備決定を、冷戦時代に戻る反歴史的な決定だと非難している。米中間で「正しい歴史認識」を要求する中国の二分法的な歴史認識は、韓国が中間的な立場を取ることを許さない-とロズマン教授は分析した。

李先敏(イ・ソンミン)記者
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