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【緊迫・南シナ海】
「法の支配」訴え屈さぬシンガポールに中国がジリジリと圧力…環球時報は「反省」を要求 「最大の貿易国をつまずかせるつもりか?」
【シンガポール=吉村英輝】東南アジアの都市国家シンガポールに中国が圧力を強めている。中国は、今年7月に仲裁裁判所の裁定で南シナ海での主権主張を全面否定されて以降、東南アジア諸国連合(ASEAN)の切り崩しを進め、仲裁裁判所に提訴したフィリピンをも懐柔した。一方、シンガポールは、日米などと同調して「法の支配」を訴え続けており、中国はいらだちを深めている。
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報の胡錫進・編集長は9月27日、「仲裁裁定に対するASEANの大半の国の反応を見て、シンガポールは恥じ入るべきだ。最大の貿易国である中国をつまずかせようとしている」と述べた。
同紙は21日、ベネズエラで17~18日に開かれた非同盟諸国会議で「シンガポールが南シナ海の仲裁裁定の問題を取り上げた」と報じ、駐中国シンガポール大使から記事の訂正を求められていた。
大使は、同会議での南シナ海問題提起はASEANの総意で、シンガポールは個別に言及していないと事実関係をただしたが、胡氏は「取材源は信頼できる」と答えるにとどまった。
シンガポール住民の大半は中国系で、文化的にも経済的にもつながりが深い。胡氏はシンガポールを「友好国とみてきた」とし、「南シナ海問題でのシンガポールの言動は度を超している」と批判。「フィリピンやベトナムに加担し、米国や日本に呼応している」と「反省」を促した。