そこから先はヨーロッパと同じだ。日本に漂着した(あるいは保護された)北朝鮮の難民は、日本政府が一定の施設に収容して入国管理しなければならない。朝日新聞などが「無限に難民を受け入れろ」と主張するだろうが、日本が温かく迎え入れてくれると分かると、難民はみんな日本を目指す。
かつて「シリア難民の受け入れに上限はない」と表明して「ドイツの慈母」と世界から賞賛されたメルケル首相は、難民の暴行事件のおかげで選挙で連戦連敗し、「時計を(難民受け入れ前に)戻したい」と失敗を認めた。時計を戻すことはできないが、入国管理を厳格化するだろう。
フランスでもテロが頻発し、国籍の管理を厳格化している。イギリスは難民の受け入れを拒んで、EU(ヨーロッパ連合)からの離脱を決めた。難民問題は、今や世界共通の問題だ。日本だけがそれと無縁だという保証はない。
こういう世界情勢を知らない日本のメディアは、「二重国籍なんかどうでもいい」とか「難民をもっと受け入れろ」などと周回遅れの主張をしている。2015年に日本の受け入れた難民はわずか27人だが、技能実習生と称する擬装移民は18万人にのぼる。
日本に無限の資源と博愛主義があれば、ドイツのように数十万人の難民を受け入れることもできるが、日本人はよくも悪くも異民族を受け入れた経験がほとんどない。財界や自民党は低賃金労働者を求めて「20万人の移民受け入れ」を主張しているが、そのメリットに比べると、治安対策や社会保障のコストのほうがはるかに大きい。
日本人は歴史的に「国家」をほとんど意識しないで生きてきた幸福な国民だが、その幸福はそう長くは続かない。北朝鮮の崩壊は時間の問題であり、その準備を今からしても早くない。民進党の蓮舫代表の「二重国籍」問題が、日本人が国家意識に目覚めるきっかけになれば不幸中の幸いである。