「浮かれている場合ではない」=基礎研究の現状に警鐘―ノーベル賞・大隅さん
(時事通信) 10月07日 18:48
東京工業大の科学技術創成研究院設立記念講演会で講演する大隅良典栄誉教授。「ノーベル賞学者が日本で毎年出ているなんて浮かれている場合ではない」と述べ、基礎科学を取り巻く現状に警鐘を鳴らした=7日、横浜市【時事通信社】
(時事通信)
東京工業大の研究組織「科学技術創成研究院」の発足式典が7日、横浜市緑区の同大で開かれ、ノーベル医学生理学賞に決まった大隅良典栄誉教授(71)が記念講演を行った。大隅さんは「私の研究は、20年前に始めた研究の成果。ノーベル賞学者が日本で毎年出ているなんて浮かれている場合ではない」と述べ、基礎科学を取り巻く現状に警鐘を鳴らした。
3日の受賞決定後、大隅さんが公の場で講演するのは初めて。大隅さんは「競争が激化するほど新しいことへのチャレンジが難しくなる。必ず成果で論文になることしかできず、長期的な展望で5年かかるような研究をしてみようというのが続かなくなる」と指摘。国の研究支援が競争的資金中心になり、成果を求める「出口指向」に強まっていることに懸念を示した。