プレスリリース
国立大学法人東京工業大学における委託事業に係る不適正な経理処理に対する措置について
農林水産省は、国立大学法人東京工業大学から公的研究費の不正使用に関する報告を受け、当省からの委託事業において研究費の不適正な経理処理が行われていたことが確認されたことから、当該研究費を返還させるとともに、不正使用を行った研究者に対し、当省所管の公的研究費への応募・参加資格を一定期間制限します。 |
1.事案の経緯
(1)平成25年6月、東京工業大学は、同大学大学院生命理工学研究科の研究室(2の※の委託事業に係る研究室)において不正経理の疑いが発覚したとして、同年7月、調査委員会を設置し、調査を開始しました。
(2)平成28年4月、同大学は、全ての内部調査が終了し処分が確定したとして、最終報告の公表を行いました。
東京工業大学公表「研究費の不正使用に関する調査結果について」
http://www.titech.ac.jp/news/2016/034749.html
(3)最終報告において、農林水産省が独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構へ委託し実施している研究課題のうち、同機構から同大学に対して再委託を行った課題において研究費の不正使用の事実が確認され、本年6月に不正使用に係る金額等詳細な報告を同機構より受け、内容の確認を行いこの度、その確認が終了したことから、研究費の返還及び応募資格の制限の厳正な措置を講じました。
2.不適正な経理処理の概要
(1)以下の※の委託事業における研究課題の研究代表者である元教授(岡畑 惠雄)は、年度内に使い切れない研究費を次年度に使う目的で、元秘書及び業者と共謀して虚偽の会計書類を作成し、大学から業者に支払わせ、多額の「預け金」を作り、現金の還流を受けるなど一部で私的に流用していました。
(2)また、非常勤職員に係る虚偽の勤務報告書を作成し、大学から給与を支払わせ、元秘書が当該非常勤職員の給与を不正に受領していました。
※不適正な経理処理が行われた委託事業(添付資料参照)
委託事業:先端技術を活用した農林水産研究高度化事業委託事業等
委託先:独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
そのうち本事案に係る東京工業大学への再委託内容
研究課題:水晶発振子を用いた茶葉中メチル化カテキン簡易即時定量法の開発
再委託額:32,200,000円
うち不適正な経理処理が行われた額:5,435,327円
研究代表者:東京工業大学大学院生命理工学研究科
岡畑 惠雄 (おかはた・よしお) 元教授
3.措置の内容
(1)研究費の返還
平成28年8月、東京工業大学に対し、不適正な経理処理により支払われた研究費について、農林水産省からの委託先である独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構を通じて返還させるとともに、同年9月、当該返還金に係る利息金の納付を命じました。
(2)応募資格の制限
不正使用を行った岡畑 惠雄(元教授)の公的研究費への申請及び参加資格について平成29年度から5年間制限します。
(3)不正の再発防止策
東京工業大学に対して、今後、このような事態が生ずることがないよう、職員に対して適正な経理の遵守を十分周知するとともに委託費を厳正かつ効率的に執行するよう要請しました。
(参考)
・農林水産省における研究活動の不正行為への対応
http://www.s.affrc.go.jp/docs/misbehavior.htm
・研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)
http://www.s.affrc.go.jp/docs/pdf/141218_kanri_kansa_guidline.pdf
4.関連情報
東京工業大学は、平成26年1月、研究費の不正使用と関係者の処分等について公表しています。東京工業大学公表「本学元教授の研究室における研究費の不正使用と関係者の処分等」
http://www.titech.ac.jp/news/2014/024706.html
<添付資料>
・農林水産省からの委託事業に係る研究費の不正使用に関与した研究者及び不正使用した額
お問合せ先
農林水産技術会議事務局研究調整課
担当者:監査官 中村
代表:03-3502-8111(内線5812)
ダイヤルイン:03-6744-2213
FAX番号:03-5511-8622