ショウエイによる、ボーンシリーズのダイジェスト漫画
超ざっくり。
(※殺人マシーンといっても、改造人間といったSF的な意味ではない)
このシリーズの重要な要素は、一作目のタイトルが『ボーン・アイデンティティー』であるように、主人公が何者であるかを、主人公自身が追い求める点である。たぶん。
今回はボーンのなにが明かされるのか、こうご期待。
続編モノだけど、上の漫画を読んだなら(たぶん)大丈夫!『ジェイソン・ボーン』実況風ネタバレ感想
全四章構成。ぼんやり者ゆえ誤解、見逃しはお許しを。
第一幕:ボーンさんの近況報告
ボーンの記憶がフラッシュバック。
これまでのあらすじを、超ウルトラざっくりとだが、観客にも思い出させてくれる。
親・切! こういう観客思いの監督、好きだ。
「すべてを思い出した」ってナレが入るけど、私はぼんやりとしか……。
そして今回のテーマは、「すべて」は「すべて」ではなかった、なのだ!
*
ギリシャの国境付近は、難民であふれている。
そこでストリートファイトに加わるボーン。いい身体!&圧勝!
でも、難民に紛れての逃亡生活のようで、かなりお疲れの様子。
CIAから逃げ続けるというのは、さぞ難易度が高いことだろう。
*
CIAをハックするかつての仲間、ニッキー。
それを察知し、「ボーンをなんとかせいや」と指令を出すCIA長官。
長官を演じるのは、缶コーヒーの「BOSS」ことトミー・リー・ジョーンズ。
うーん、日本人には、悪人とは認識できないお人。
*
ニッキーと接触するボーンを確保しようとするCIA。
ハッキングで情報を得たニッキーいわく、「ボーンには、みずからについてまだ知らないことがある」らしい。
今回は、失った記憶ではなく、それ以前の秘密が明かされるっぽい。
ボーンが、知らないことすら知らなかった過去……。
接触できたものの、CIAに見つかり、逃げるボーンとニッキー。
バイクに二ケツのカーチェイス。
むむ、アクションシーンのカメラが揺れすぎかなあ。
わわっ、過去に因縁があるっぽい工作員が、屋上からスナイプ狙ってるよ!
ああっ……。
ニッキー、脱落……。
そう、このシリーズは、女性も、死ぬ。
*
・CIAがもくろんでいるあらたな計画
・ニッキーを殺した工作員との決着
・自分自身の秘密
三つのネタが配置された。
ボーン、このままじゃ、いられないよね?
第二幕:明かされていく真実
とあるIT企業が、新しいウェブサービスを始めようとしている。
じつは裏で、CIAが個人情報の収集に悪用しようと考えている。
うむ、911以後の世界の定番ネタだ。既視感が強いが、無問題。
*
ボーン、ニッキーからもらったデータを確認。
明かされる事実。
ボーンを非道の工作員に調教したプロジェクトは、ボーンの父親が発案したものだった!
ボーンの脳内にフラッシュバックする過去の映像。
父が乗った車が、ボーンの目の前で爆発する。
父は、テロによって殺されていたのだ。
むむ? テロだよね? それはテロだったんだよね?
*
CIA内部に、ひそかにボーンに協力しはじめる女が。
けど、食えない女感、濃・厚!
第三幕:ボーンさん、動く
CIA長官、表向きはボーンを確保せよと指示。が、裏では、工作員に殺せと命令。
*
今回のボーンは、精神的にとても病んでいる。
逃亡の疲れと、明かされつつある秘密に、不安定になっている。
ボーンが情報機器を使用→CIAが察知→追跡→ボーンはすでに逃走。
このシリーズは、このパターンが多い。定番演出なので、もはやドキドキしろというのはムリな話かも。
*
情報を知る者を追いつめたボーン。
明らかになる真実。
父は、自分が発案したプロジェクトのメンバー候補に、息子が選ばれたことを知り、ショックを受けた。そして計画を世間に公表することで、白紙にさせようとした。
息子を殺人鬼にしたくなかったのだ。
愛!
しかし、プロジェクトはCIAの重要な計画。
DA・KA・RA! 父は殺された。
父を殺したのは、テロリストではなく、CIAだったのだ。
(そんな組織に、事情を知らぬかつてのボーンは仕えていたのだ!)
実行犯は、ニッキーを殺した工作員と同一人物のようだ。
指示をしたのは、CIA長官!
倒すべき敵が明確化したZe!
第四幕:反撃
長官が、みずから出演せねばいかんイベントがあり、ラスベガスの会場へ。
ボーンを含めそれぞれが、それぞれの思惑を持って集結。
ボーンはどこまでの行為を念頭に置いているのか……。
このシリーズは、いつもだけど、とても私的な感情が軸。
*
秘密の計画が世に暴露されそうなので、隠滅を計る長官。
それより先に、その計画を暴露しようとするウェブサービス開発者。
とどろく銃声。会場はパニック。
*
ホテルの一室、長官を追い詰めたボーン。
ボーンの告白。
ボーンは、テロリストに父を殺されたと思っていた。だからこそ、おなじようなことが繰り返されないようにと、みずから殺人マシーンとなるプロジェクトに志願したつもりでいた。
ボーンもまた、愛ゆえに、CIAに完全にだまされ、利用されていたというわけだ。
切ない……。
長官の告白。
いやいや、おまえには殺人マシーンの素質があったんだよ。気づいているはずだ。
任務なしでは生きていけない人間であることも、逃亡生活を続ける中で痛感しただろ?
組織に戻れ、お前はそういう人間だ。
あわわ、どうなんやろ。
逃亡しても居場所が見つけられなかった感は、たしかにある。
動揺するボーンに、隙が!(本当に殺人マシーンか?)
ボーン、ピンチ!
あれっ?
協力してくれてた女が入ってきて、撃ち殺しちゃったよ……。
これ、今回のラスボスでは?
*
本作の、映像的な意味での、最大の見せ場がスタート。父とニッキーを殺した工作員を追いかけるカーチェイス。
うん、こいつは自分の手で殺さないとね!
(実行犯よりさきに、命令をくだした長官がさきに死んだのは、順番が逆な気がしないでもない……)
うーむ、やっぱり今作のアクションシーンは、カット割りが細かすぎて、つらい。酔う。
魅力的なカットもあるだけに、もったいない。
工作員、ノックダウン! ボーン、勝利!
*
エンディング。
協力してくれてた女は、CIAにおいて重要なポジションを得つつある。
彼女は、長官が進めていた計画をひそかに受け継ぎ、ボーンの復帰も企んでいる。
トップが死んだところで、CIAの本質は、まったく変わらないのだ。
ボーンをコントロールできると思っている女に、ボーンからちょっとした贈り物が。
してやられた、的な彼女の悔しそうな表情とともに、エンド!
感想まとめ
通常のアクション映画とはことなり、このシリーズは、あくまでも主人公が、世のため人のためではなく、自分のために戦う。
それに乗れるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの分岐点ではあるだろう。いわば、キャラものだ。
ボーンのキャラが好きなら、アリなはず。
だが。
個人的には、アクションが合わなかった。
まず、格闘アクション。
地味だがリアル、というのがこの作品の、とくに第一作の持ち味だったと認識しているのだが、今作は、ごく普通の格闘スタイルに見えた。
マット・デイモンはしっかりアクションができる人なんだから、こだわりを感じたかった。
見せ場と報じられていたカーアクションも、私としては難アリ。
格闘アクションとおなじく、カット割りが細かくて、カメラは揺れぎみで、寄りぎみ。
なんとなくすごいシーンに見えるのだが、この撮り方では、たいしたことのないアクションでも、すごく見えてしまう。ジェリー・ブラッカイマー的というか。
カメラマンや編集さんのテンションが高すぎて、逆に、観ているこっちのテンションが下がってしまったという感じ。
乾いたアクション描写に魅力を感じているシリーズなだけに、かつ、「おっ」と思えるカットもあっただけに、私にとって相性の悪い演出方針だったのは、残念だった。
続編への期待
今回のテーマは、CIAという組織から逃れ、だが人生の目的も見失っていたボーンが、真の意味で解放される、ってことかと思っていたのだが、どうなんだろう。
CIAの追跡はなくなり、今後の人生に選択肢が生まれた。
これはこれで、ハッピーエンドか。
ポール・グリーングラス監督は、続編の可能性についてこうコメントしている。
「絶対にやらないとは、もう言わないことにした」
こりゃ、あるね!
このシリーズの、ストーリー上の不可欠要素は、ボーン自身のアイデンティティーにかかわる新事実、である。
であるならボーンは、つぎはどんな「あらたな自分」を知ることになるのだろう。
ええっ!? わい、じつはおかんの浮気でできた子で、本当のおとんは、つぎの大領領候補だってぇええ!?
こんな三流脚本でも、私は観ますよ。
タイトルは、『Bourne born Bourne ~ボーン・ボーン・ボーン~』(ボーンになるべくしてなったボーン)でどうでしょう?
本作『ジェイソン・ボーン』に得点をつけるなら、ちょっときびしめ。
3.8/5.0
過去作との比較で減点してしまうのは、老害的な現象かなあ……。
・Amazon マットデイモン フィギュア1/6
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