BIGBANGの弟分が1位、謎のシンガーソングライターが3位に

iKON「DUMB & DUMBER」(エイベックス)
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 ここからはチャートの上位をピックアップしてお届けしましょう。

 1位は韓国の男性7人組ヒップホップグループ、iKONの1stシングル「DUMB & DUMBER」です。2009年に日本でデビューした男性グループ、BIGBANGの弟分に当たる存在ですが、デビューを賭け熾烈なオーディションで勝ち抜いてきた7人だけに、ライブだけでなくテレビでのダンスやラップもかなり挑発的でワイルドです。しかも全員18歳から22歳と、ブレークしてきたK-POPグループの中でもかなり若く、時折少年性が垣間見えるのがまた人気の秘訣のようです。

 3位の米津玄師「LOSER」は通算5作目となるシングルです。…って誰だ? と聞かれそうですが、彼はテレビにほとんど顔を出さないため、全く知らない人が多くても不思議ではありません。1991年徳島県出身の米津玄師は、2000年代後半から“ハチ”名義でニコニコ動画への投稿を開始。その後、VOCALOID(ボーカロイド)を用いた楽曲で注目され、2012年に自身のボーカルでアルバムデビューしました。疾走感のある楽曲や渇いたボーカル、何度も読みたくなるような深遠な歌詞などの音楽的な魅力(RADWIMPSやBUMP OF CHICKENにも通じる)、自身でジャケットやミュージックビデオの繊細なイラストを手がけるなど、その多才ぶりから熱心なファンがかなり多いアーティストです。本作からはレコード会社がソニーに変わったため、今後はアニメ関連作でアニメファンにも支持を大きく広げる可能性があります。

米津玄師「LOSER」(ソニー)
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「ペンパイナッポーアッポーペン」人気で「江南スタイル」急浮上

 ところで、今週のTOP20のロングヒット4作のうち、2012年にYouTubeから世界的に大ヒットした「江南スタイル」が突如19位にランクイン。この曲は今年2月末にも突如急上昇しているのですが、あの時期はRADIO FISHの「PERFECT HUMAN」がお茶の間で大人気となり、「パクリ元か?」と話題が飛び火した「江南スタイル」の復活人気につながっていました。

 では、今回の急上昇は? そう、ネット上のみならず、すでに小さな子どもたちまでペンを持って真似をしている、“お笑い芸人・古坂大魔王一押し(?)の千葉県出身シンガー・ソングライター”ピコ太郎が歌う「ペンパイナッポーアッポーペン」(略してPPAP)の影響が大きいと考えられます。パンチパーマに口ひげとメガネ、ヒョウ柄のヤンキー風ファッションに身を包んだ謎(?)の中年男性が、ファミコン風の電子音に乗ってクネクネ踊る動画ですが、ジャスティン・ビーバーのツイートにより、一気に全世界に人気が拡大。今週末には音楽配信も始まるので、「PERFECT HUMAN」同様に、異例の大ヒットとなるか、それとも2匹目のドジョウとして動画ヒットだけにとどまるのか、要注目です!

臼井 孝(うすい・たかし)
1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、1997年に音楽系広告代理店に転職。音楽作品のマーケティングに携わったあと、2005年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やLISMO Storeの監修、さらにCD企画(『エンカのチカラ』シリーズや松崎しげる『愛のメモリー』メガ盛りシングルなど)をするかたわら、共同通信、月刊タレントパワーランキングでも愛と情熱に満ちた連載を執筆。監修したCD『禁じられた愛の唄』は2016年9月28日に発売。Twitterは@t2umusic。